不正出血と血小板減少症の関係
厚労省とメーカーは副反応として認めていなくても、報告した医師が「関連の可能性があり、調査の必要がある」と感じた症状が出ています。さらにその症状は、厚労省がデータを集めたがっているある症状と関連があるかもしれません。そして、その症状が起きていたら、飲んではいけない薬があります。悪化してしまう可能性があるのに、注意喚起をしなくてよいのでしょうか。
調査の必要性
Twitterなどでは、新型コロナワクチン接種後に、不正出血や月経不順があったという女性が多く見られます。実際に、厚労省が公開している副反応疑いの報告にも事例がありました。
厚労省サイト ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)>2021年8月25日 資料
資料1-2-3-1より。一部、読みやすくするために編集しています。
事例8441 48歳女性 コミナティ筋注2回接種
ロット番号:EW4811(1回目)、EY5420(2回目)
2021/05/13 14:45 1回目接種。
2021/06/03 14:30 2回目接種。
2021/06/04 09:00、不正性器出血、鼻出血、皮下出血など出血傾向、
その他の著明な症状は以下を含んだ: 不正性器出血(生理が早まった)。
事象の経過は以下の通り: 投薬もなく自然経過で改善していた。
2021/06/18、患者は血小板数を含む検査値と処置を受けた。
事象フィブリノゲン:25.5mg/dl(正常範囲:170-410)、APTT:24.7秒
(正常範囲:26-28)の転帰は不明、残りの事象は投薬なしで2021年
に回復であった。
更に、他3~4人の女性(医療従事者)もこの状態を発現した。そのような女性はインターネットでも載せていた。厚労省とメーカーは『不正性器出血(生理が早まった)』を副作用として認めていないが、女性の生理不順は十分考えられ、調査の必要があると思われた。
報告医師は、「調査の必要があると思われた」と書いています。「3~4人の女性がこの状態を発言した」とあり、その3~4人と関連していると思われる報告もありました。
事例9623 49歳女性 コミナティ筋注1回接種 ロット番号不明
接種日等不明
質問背景: 先週水曜日、ワクチン1回目を打った。
今日の朝、不正出血があって婦人科にいった。
元々筋腫を持っていたので筋腫からの出血ですと言われた。
質問:その3名の予後はどうなりましたか?
子宮出血の報告がある3名全員がなくなったといったら問題になりますし、そういった注意喚起がきっとありますよね。
少し前に子宮腺筋症の方は出血して亡くなったということがありましたが、ワクチンの因果関係はあるのか。
医師からも子宮からの出血で心配なしと言われているので大丈夫ですよね?
2回目も気にしないでうってよいか。
再調査は不可能である。バッチ/ロット番号に関する情報は、得ること
ができない。
これだけではなんだか意味がわからないのですが、とても気になる報告です。
血小板減少症との関係
事例を見ていくと、不正出血と血小板減少症との関係が見えてきました。1つ前の報告(8月4日分)から、血小板減少症との関連がある事例を見てみましょう。
厚労省サイト ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 厚生科学審議会 (予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)>2021年8月4日 資料
資料1-2-3-1より。bnt162b2はコミナティ筋注のことです。
事例8827 50 歳女性 コミナティ筋注2回接種
ロット番号:ER9480(1回目)、EW4811(2回目)
基礎疾患等:なし
2021/04/23 コミナティ筋注1回目接種。
2021/05/14 コミナティ筋注2回目接種。
2021/05/28(ワクチン接種の 14 日後)、過多月経のため近医受診。 2021/05/31(ワクチン接種の 17 日後)、血小板数が 0.3 万/mcL と著減のため、紹介初診。骨髄検査で診断して、加療中。
報告医師は、事象を重篤(死亡につながるおそれ)と分類し、bnt162b2 との因果関係は評価不能であった。
他の疾患など可能性のある他要因はなかった。
報告者意見は以下の通りであった: ワクチンに関連する可能性が高いと考えられる。
下記は、追加の情報として不正出血が加わっています。経過や症状が参考になりそうなので、少し長く引用しました。
事例8786 20歳女性 コミナティ筋注1回接種 ロット番号:ER9480
基礎疾患等:皮膚の自己免疫疾患?で病院を受診中
2021/04/20、コミナティ筋注 1 回目を接種。
2021/05/03 頃より、四肢および体幹に点状出血が出現した。その後、口腔内の出血も伴ったため病院の血液内科を受診した。
2021/05/03 の PLT(血小板数)が 16000/uL と低値であったため、2021/05/07 に入院となった。入院時、バイタルサインに正常であった。
身体検査にて四肢体幹の点状出血および皮下血腫を認めた。
血液検査では白血球数、ヘモグロビン値は基準値内であったが、血小板数が 16000/uL と低値であり、IPF(特発性肺線維症)が 11.9%と軽度上昇を認めたため入院となった。
末梢血に芽球の出現を認めず、その他の生化学検査、凝固検査でも異常所見は認めなかった。 患者に飲酒習慣や喫煙習慣はなく、関連する既往歴や家族歴も認めなかった。
1 年 6 ヵ月前、11 ヵ月前にそれぞれ施行された健診では、血小板数が 300000/uL と基準値内であり、その他の項目にも異常所見は認めなかった。
血小板単独の減少と、IPF 軽度増加から ITP を疑い、骨髄穿刺検査を施行した。骨髄は正形成で M/E 比は 4.7 であった。骨髄巨核球数の増加および血小板付着像を欠く巨核球を認め、各系統に異形成を認めなかった。これらの結果から、ワクチン関連の有害事象としての ITP(免疫性血小板減少性紫斑病)と判断し、PSL 50mg/body(1mg/kg にほぼ等しい)の加療を開始した。
治療開始後 4 日目には、血小板数が 210000/uL まで改善し、皮下の点状出血も消退傾向となった。 治療開始後 8 日目には、血小板数が維持されたため PSL を以降、PSL(プレドニゾロン)を 20mg/body まで漸減した。 入院 13 日目、患者は退院した。 その後、再燃は認めず、患者は軽快していた。
治療的処置は、特発性血小板減少性紫斑病、四肢および体幹に点状出血、口腔内の出血、血小板数低値、IPF 軽度上昇、四肢体幹の皮下血種、骨髄巨核球数の増加に対して取られた。
追加の事象経過が提供された:病院受診(2021/05/07)の数日前より、四肢、口腔内に出血症状、不正性器出血が出現した。
報告したその他の医療従事者は、事象を重篤(入院)と分類し、BNT162b2 と関連ありと評価した。 他要因(他の疾患等)の可能性はなかった。
報告者は次の通り結論した: 新型コロナウイルスワクチン接種から 2 週間程度の発症であった。接種2~25 日(中央値 5 日)で同様の ITP 発症が複数報告されている。また、PSL 加療にて ITP が著しく改善し、ITP の原因としてワクチンなどの薬剤が疑われた。
下記の事例は、不正出血は書かれていませんが、血小板が異常に少ないので取り上げておきます。
事例10157 31歳女性 コミナティ筋注2回接種
ロット番号:FA4597
(1回目の接種情報に関しては、文章が少しおかしいです)
病歴等:なし
2021/06/12 13:00、1回目接種
2021/07/03、患者は、胃腸/内視鏡内科クリニックでワクチンの2回目接種を受けた。
2021/07/04、患者は、発熱と頭痛を発現したため、カロナールを内服した。
2021/07/08、患者は、四肢点状出血、紫斑、口腔内出血を経験した。
2021/07/09、血液検査の結果、血小板数1000未満と計測不能であることが示された。
2021/07/09、同日、特発性血小板減少性紫斑病と診断され、緊急入院した。
事象の転帰は、2021/07/09からプレドニン50mg7日間内服を含む治療で回復であった。
血小板減少症とは
血小板減少症にはいくつかの原因がありますが、薬の服用により発症することもあるので、厚労省のサイトに「重篤副作用疾患別対応マニュアル」が公開されています。
下記のページから、血液→血小板減少症です。

血小板とは、骨髄中で巨核球から生成される、核のない小さな細胞(2~3 μm)で、出血時の止血、血液の凝固に重要な役割を担っています。
血小板の正常値は 15~35 万/mm3 で、通常 10 万/mm3 以下を血小板減少症としています。血小板数が 5 万/mm3 以下になると、ちょっとした打ち身などであおあざが出来て、それが拡大しやすくなったり、歯磨き時に出血したり、生理出血が止まりにくくなって出血量が増えたりする傾向があります。このような症状がなくても、突然の出血が皮膚にあおあざ、口内の粘膜から
の出血(粘膜血腫)、鼻血、血尿、黒色便あるいは便鮮血などとして認められることがあり、血小板数 1 万/mm3 以下になると、頻度は高くありませんが脳内出血など重い症状をきたすこともあります。
医薬品の服用を中止し、適切な管理、治療を行うことによって、多くは約 1 週間位で血小板数は回復し始めます。
事例8827の方は、血小板数が 0.3 万/mcL でした。事例10157の方は、血小板数1000未満だったので、非常に危険な状態だったと思われます。
Vol.41で取り上げた厚労省の資料には、「一般的にワクチンに関連しうると考えられる症状」として、「血小板減少性紫斑病」も3月の時点でリストアップされています。それなのに、なぜ注意喚起をしないのでしょうか?

そして厚労省は、「血小板減少性紫斑病」についても積極的に報告してほしいと医師にお願いしています(Vol.41参照)。
さらに、「MSDマニュアル家庭版」に、血小板減少症についてとても気になる記述がありました。
血小板数が少なく、異常な出血がみられる場合は、血小板の機能を損なう薬(アスピリンなど)を通常服用してはなりません。
接種後に血小板の減少が起きていても、気づかないで解熱剤や頭痛薬を服用している人がいるかもしれません。これも含めて、血小板減少に関する注意喚起が必要ではないでしょうか。
ところが、厚労省のサイトでは、不正出血に関する不安に対して、全く違う方向で回答しています。

たしかに、「直接的に」起こすことはないのかもしれません。けれども、もしワクチン接種が血小板減少症の原因になっているなら、不正出血や月経不順が起きる可能性はあるのではないでしょうか。
それならば、その注意喚起をするべきだと思うのですが、上記のページでは下記のようなアドバイスをしています。
不正性器出血や過多月経(経血量が多いこと)は、子宮筋腫、子宮がんなどの病気が原因のことがあります。必要に応じ、産婦人科を受診し相談しましょう。
目を向ける方向は違っていますが、産婦人科を受診して血液検査をすれば、早めに対応できるかもしれません。いつもと違うと感じたら、念のため血小板も調べたほうがよさそうです。
血小板減少性紫斑病とは
血小板減少性紫斑病には、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)と血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)があるようですが、どちらも指定難病となっています。
以下、上記難病情報センターのサイトより。
特発性血小板減少性紫斑病の症状
・点状や斑状の皮膚にみられる出血
・歯ぐきからの出血、口腔粘膜出血
・鼻血
・便に血が混じったり、黒い便が出る
・尿に血が混じって、紅茶のような色になる
・月経過多、生理が止まりにくい
・重症な場合は、脳出血
血栓性血小板減少性紫斑病の症状
体のだるさ、吐き気、筋肉痛などが先行し、発熱、貧血、出血(手足に紫斑)、精神神経症状、腎障害が起こります。発熱は38℃前後で、ときに40℃を超えることもあり、中等度ないし高度の貧血を認め、軽度の 黄疸 (皮膚等が黄色くなる)をともなうこともあります。精神神経症状として、頭痛、意識障害、錯乱、麻痺、失語、知覚障害、視力障害、痙攣などが認められます。血尿、蛋白尿を認め、まれには腎不全になる場合もあります。
上記のどちらについても、ほとんどが厚労省が公開している副反応疑いの報告にでてきます。気づいていないけれど血小板の減少と関係しているケースが、実はあるのではないでしょうか。
血小板減少症を伴う血栓症・血栓塞栓症疑い
そしてもう1つ気になるのが、厚労省は8月25日分から、資料1-5-1として、「新型コロナワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症・血栓塞栓症疑いとして製造販売業者から報告された事例の概要 」(コミナティ筋注)を公開していること。
「新型コロナワクチン接種後に血栓関連事象及び血小板減少関連事象が見られた事例として報告されたものを集計したもの」であり、因果関係がないものも含まれていると書かれていますが、なぜこれを別枠としてまとめているのでしょうか。
副反応疑いの経過について見ていると、血小板減少性紫斑病だけでなく、顔面神経麻痺、末梢神経障害、突発性難聴など、多くのケースで治療にステロイドが投与されていることも気になります。しかも、パルス療法で大量に投与しているケースも少なくありません。まだ因果関係は評価できないという報告ですが、接種を検討するときには、これらのリスクについても調べた方がよいと感じました。
