なぜ褒めても勇気づけにならないのか?アドラー心理学でわかる日常承認の本質
なぜ褒めても勇気づけにならないのか?アドラー心理学でわかる「日常への注目」
縦関係をなくして勇気づけをしたいならば、初心者は、とにかく「ありがとう」「うれしい」というネタを探しましょう。でもそれが特別な出来事であった場合は、勇気づけになりません。特別な出来事だと、私はこのように特別な人間でなければこの家族に受け入れてもらえない、と相変わらず思いますからね。
だから、ご主人がおみやげを買ってきてくれたときだけ「ああうれしいわ、ありがとう」と言っていると、ご主人は、おみやげを買ってこなければ俺はだめなのかと感じる。学校でいい点を取ってきたときだけ「まあ、うれしい」と言っていても、「いい点取ったときだけ私は家で受け入れられて、点の悪いときは受け入れられない」と感じるから、悪い点を取ると帰りに自殺しようかなと思ったりします。それでは勇気づけにならない。
そうではなく、ごく普通のこと、当たり前のこと、毎日起こっていることに注目してください。
結論から言えば、勇気づけとは特別な成果を評価することではない。「当たり前の日常」を認める関わりなのである。
アナタの前提
アナタはこう思うかもしれない。
「良いことをしたときに褒めればいい」
「成果を認めることが大切だ」
「特別なことに対して感謝するべきだ」
その考えは自然である。
しかし、それは誤りである。
用語の定義
・勇気づけ
→ 結果や特別な成果ではなく、その人の存在や日常の営みに価値を見出し、安心して行動できるように支える関わりである。
・縦の関係
→ 上下関係の中で評価し、相手をコントロールしようとする関係である。
・横の関係
→ 対等な立場で関わり、評価ではなく尊重によってつながる関係である。
・条件付き承認
→ 特定の成果や行動があったときだけ価値を認める関わりである。
なぜ特別なことではダメなのか
多くの人は、
「良いことがあったときに褒める」
これが正しいと思っている。
しかしそこに落とし穴がある。
特別な出来事だけを評価すると、
どうなるか。
・成果があるときだけ価値がある
・できないときは価値がない
・常に結果を出さなければならない
つまり──
価値が条件付きになるのである。
条件付き承認の危険性
条件付きの関わりは強い影響を持つ。
・評価を得るために行動する
・失敗を極端に恐れる
・できない自分を否定する
そして最終的には、
「そのままの自分ではダメだ」
という感覚が生まれる。
なぜ人は特別なことに注目するのか
ここにも目的がある。
・成果を出させたい
・相手をコントロールしたい
・効率よく動かしたい
特別なことに注目すると、
行動を誘導しやすい。
しかしその代わりに、
安心感が失われる。
それもまた一つの選択である。
日常に注目するということ
ここが核心である。
勇気づけは、
特別な瞬間ではなく、
日常に向けられる。
・いつも通り過ごしている
・そこにいてくれる
・関係が続いている
これらは見過ごされがちである。
しかし──
本当に価値があるのは、変わらず続いていることなのである。
なぜ日常が勇気づけになるのか
日常を認めると何が起こるか。
・条件がなくなる
・比較がなくなる
・そのままで受け入れられる
そのとき、
人は安心する。
そして、
自分で動き始める。
日常に潜む「条件付きの関わり」
アナタは無意識にやっているかもしれない。
・成果が出たときだけ反応する
・うまくいったときだけ褒める
・普段は何も言わない
これはすべて、
条件付き承認である。
問いと選択
ここで一つ、問いを持ってほしい。
「自分は今、特別なときだけ相手を見ていないか?」
その上で、こう選ぶこともできる。
→ 当たり前に目を向ける
→ 日常に価値を見出す
結論
勇気づけとは特別な出来事への反応ではない。日常をそのまま認める関わりなのである。
そして、その視点を持てるかどうかは、今ここにいるアナタの選択にかかっている。
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野田俊作は、日本におけるアドラー心理学の代表的な実践家であり、シカゴ・アルフレッド・アドラー研究所留学に留学し、アメリカのアドラー派(ドライカース系)の影響を受けながら、その普及に大きく貢献した人物である。初代日本アドラー心理学会会長。日本のアドラー心理学の第一人者!
