見出し画像

アドラー心理学の全体論を解説|意識と無意識をどう考えるのか

人間の心はバラバラなのか──アドラー心理学の全体論を考える

「頭ではわかっているのに、できない」

「本心ではこう思っているはずなのに、なぜか違う行動をしてしまう」

アナタもそんな経験をしたことがあるだろう。

私たちはしばしば、自分の心の中に複数の自分がいるように感じる。

理性と感情が争っているように思えることもある。

意識と無意識が対立しているように感じることもある。

しかしアドラー心理学は、こうした見方とは少し違う立場を取る。

そこにあるのが「全体論」という考え方である。

アドラー心理学の全体論

まずは引用を見てほしい。

6.全体論
アドラー心理学のもっとも大切な課題は、個人の統一的全体性を見いだすことである。
(アドラー)


 人間の内部には分裂や葛藤はありません。意識も無意識も、すべてが一丸となって目標を追求します。

──野田俊作監修『アドラー心理学教科書』より

この言葉は、アドラー心理学の人間観を理解するうえで非常に重要である。

アドラーは、人間を部分の寄せ集めとして見なかった。

人間を一つのまとまりを持った存在として理解しようとしたのである。

行動には一貫した方向性がある

たとえば、ある人が人前に出ることを避けているとする。

表面的には、

「自信がないから」

「不安だから」

と見えるかもしれない。

しかしアドラー心理学は、その行動だけを切り離して考えない。

その人の考え方。

感じ方。

人間関係。

人生の目標。

そうした全体の中で理解しようとする。

つまり、

一つひとつの行動には、その人なりの一貫した方向性がある

と考えるのである。

矛盾しているように見える行動もつながっている

アナタは、

「自分は矛盾した人間だ」

と思ったことがあるかもしれない。

しかしアドラー心理学から見ると、その矛盾にも意味がある。

たとえば、

認められたいのに人を避ける。

仲良くなりたいのに距離を取る。

挑戦したいのに動けない。

こうした行動は一見すると矛盾している。

しかし全体論の視点から見ると、

「傷つきたくない」

「失敗したくない」

「価値のない人間と思われたくない」

という一つの方向性に統一されていることがある。

表面ではバラバラに見えても、深いところではつながっているのである。

全体論が教えてくれること

全体論の視点に立つと、人を見る目が変わる。

問題行動だけを見なくなる。

失敗だけを見なくなる。

弱点だけを見なくなる。

その人全体を見ようとする。

なぜその行動をしているのか。

どんな目標に向かっているのか。

何を守ろうとしているのか。

そうした理解が可能になる。

これは他人だけではない。

自分自身を理解するときにも役立つ視点である。

人間は一つの物語として生きている

アドラー心理学の全体論は、人間を一つの物語として見る考え方とも言える。

ある場面だけを切り取っても、その人は理解できない。

人生全体の流れの中で見て初めて理解できる。

だからアドラー心理学は、

「この症状は何か」

「この欠点は何か」

という見方よりも、

「この人はどのように生きようとしているのか」

という問いを大切にする。

そこに全体論の本質がある。

人間を部分ではなく全体として見る

現代社会では、人をラベルで判断しがちである。

能力で評価する。

欠点で評価する。

診断名で評価する。

しかしアドラー心理学は、それだけでは人間を理解できないと言う。

人間はもっと大きな存在だからである。

考えも。

感情も。

行動も。

意識も無意識も。

すべてを含めて一人の人間なのである。

アドラー心理学の全体論とは、人間を欠点の集合としてではなく、一つの統一された存在として理解しようとする視点なのである。

⇧アドラー心理学教科書はこちらで買える。(アフィリエイトリンクではない。)多くの学習者や講座で参照される基本テキスト。

いいなと思ったら応援しよう!