なぜ人は「自分の都合のいい世界」を見てしまうのか?アドラー心理学の統覚バイアスを解説
なぜ人は「現実をそのまま見られない」のか?アドラー心理学の統覚バイアスを解説
導入(引用+結論)
まずね、アドラー心理学の用語で「統覚バイアス」と呼んでいるものがあります。これは、人間は、自分の性格に一致するように外界の出来事に意味づけをするということ。性格(私注:ライフスタイル)というのは、その人固有の信念の体系なんです。思いこみのシステムと言ってもいい。個人の思いこみは、一種の色眼鏡として作用して、その人の信念体系に合致するように、世界を勝手気ままに解釈してしまいます。
結論から言えば、アドラー心理学では、人は“現実そのもの”を見ているのではない。“自分の信念に合わせて解釈した世界”を見ているのである。
アナタの前提
アナタはこう思うかもしれない。
「自分は現実を客観的に見ている」
「ただ事実を受け取っているだけだ」
「世界がそう見えるのだから仕方ない」
しかし、
野田俊作は、
それは違うと言う。
「統覚バイアス」とは何か
統覚バイアスとは、
簡単に言えば、
“自分の信念に合わせて世界を解釈してしまうこと”
である。
つまり、
同じ出来事でも、
人によって意味づけが変わる。
世界は「そのまま」見えていない
ここが重要である。
人は、
現実をカメラのように記録しているわけではない。
むしろ、
無意識に編集している。
・どこを見るか
・何を重視するか
・どう意味づけるか
これらは、
その人のライフスタイルに左右される。
「ライフスタイル」とは何か
本書では、
性格=ライフスタイルとして語られている。
でも、より正確に言えば、アドラー心理学でいうライフスタイルとは、
単なる性格傾向ではない。
もっと深く、
・世界観
・自己イメージ
・他者観
・人生戦略
を含む、
その人固有の生き方のパターンである。
「思いこみのシステム」という表現
ここが非常に面白い。
野田俊作は、
ライフスタイルを、
「思いこみのシステム」
とも表現している。
つまり、
人は、
自分なりの前提を持って世界を見ている。
色眼鏡としての信念
例えば、
「人は信用できない」
という信念を持っている人は、
他人の小さな冷たさを強く記憶する。
逆に、
優しさは見落とすことがある。
すると、
「やっぱり人は信用できない」
という世界が完成する。
自分で世界を補強してしまう
つまり──
統覚バイアスとは、“自分の信念を証明する情報ばかり集めてしまう働き”でもある。
その結果、
世界観がどんどん固定される。
劣等感も統覚バイアスで強化される
例えば、
「自分には価値がない」
と思っている人は、
小さな失敗を過大評価しやすい。
一方で、
成功や好意は軽視する。
すると、
ますます自己否定が強化される。
「現実」より「解釈」が苦しみを作る
ここがアドラー心理学的である。
問題なのは、
出来事そのものだけではない。
その出来事を、
どう意味づけるかである。
つまり──
苦しみの多くは、“解釈のパターン”によって増幅されるのである。
「性格だから仕方ない」では終わらない
しかし、
逆に言えば、
ライフスタイルが変われば、
世界の見え方も変わる。
つまり、
統覚バイアスは絶対ではない。
野田俊作は「認知の癖」に注目している
個人的には、
ここにはかなり現代認知心理学にも通じる視点があると思う。
ただし、
野田俊作は、
単なる認知修正ではなく、
もっと深い「生き方」全体として語っている。
つまり──
世界の見え方は、“人格全体”と結びついているのである。
日常に潜む「色眼鏡」
アナタは無意識にやっているかもしれない。
・嫌われていると思い込む
・失敗ばかり見つける
・人の悪意ばかり読む
しかし、
それは本当に、
世界そのものなのだろうか。
問いと選択
ここで一つ、問いを持ってほしい。
「自分は、“現実”を見ているのか。それとも“自分の信念を通した世界”を見ているのか?」
そして、
もう一つ。
「今の苦しみは、出来事そのものなのか。それとも意味づけによって強化されているのか?」
結論
アドラー心理学の統覚バイアスとは、人が自分のライフスタイルに合わせて世界を解釈してしまう働きである。
つまり、
人は「世界そのもの」を見ているのではなく、
“自分の信念によって色づけされた世界”を生きているのである。
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アナタは、本書を開いた瞬間、「性格は変えられない」という思い込みを真正面から覆される。野田俊作の語りは静かだが鋭く、読み進めるほどに自分の反応や人間関係のパターンが見えてくる。気づけばアナタは、“変われない自分”ではなく、“選び直せる自分”として世界を見始めている――人生観を根底から揺さぶる衝撃的な一冊である。
野田俊作は、日本におけるアドラー心理学の代表的な実践家であり、シカゴ・アルフレッド・アドラー研究所留学に留学し、アメリカのアドラー派(ドライカース系)の影響を受けながら、その普及に大きく貢献した人物である。初代日本アドラー心理学会会長。日本のアドラー心理学の第一人者!
