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高い、けれど。ドイツ、ベルリンのビール。

この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」


ベルリンに着くまで、物価をわかったつもりでいた。

ドイツ。ベルリン。

ビアホールに、入った。
賑やかだ。
地元の人たちが、ビールを飲んでいる。
わたしも、注文した。

「ビール、ください」
「サイズは?」
「普通で」

運ばれてきたビールは、巨大だった。
一リットル。
ジョッキが、デカい。
両手で持たないと、危ない。
ひと口、飲む。
うまい。
冷えている。
苦味と、コク。
ゴクゴクと、飲む。

プレッツェルも、注文した。
大きな、塩味のパン。
むぎゅっとした食感。
ビールに、合う。

ソーセージも、注文した。
太い、ジューシーなソーセージ。
ザワークラウトが、添えてある。
酸っぱいキャベツの漬物だ。
ソーセージをかじる。
ぷりっ。
肉汁が、じゅわっ。
うまい。
ザワークラウトも、うまい。
ビールを、また飲む。
幸せだ。

巨大ジョッキを、飲み干し会計を、頼んだ。
「三十ユーロです」
高い。
ビールとプレッツェルとソーセージで、三十ユーロ。
日本円で、五千円近い。

高い。
これまで旅してきた国々を、思い出した。
あの国々では、この金額で、何日も食べられた。

だが、ここはドイツ。
西ヨーロッパ。
物価の桁が、ひとつ違う。
やれやれ。

それでも、ビールも、プレッツェルも、ソーセージも、
どれも期待を裏切らなかった。
喉を通る苦味と、塩気と、香ばしさ。
高くても、納得できる味だった。
そう思えた。

ビアホールを出ると、夜風が少し冷たかった。
お腹は満たされ、財布は軽くなった。

物価の安い国から、高い国へ。
値段も空気も変わる。
それもまた、旅の一部だ。

―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。


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