浮いている、人。チェコ、カレル橋の夕暮れ。
この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」
カレル橋に着くまで、大道芸をわかったつもりでいた。
プラハ。カレル橋。
ヴルタヴァ川にかかる、石の橋。
観光客が、たくさんいた。
歩くのも、大変なくらい。
橋の両側には、聖人像が並んでいる。
三十体。
どれも、古い。
重厚だ。
そして、大道芸人がいた。
あちこちに。
楽器を弾く人。
似顔絵を描く人。
人形劇をする人。
そして。浮いている人がいた。
本当に、浮いている。
いや、浮いているように見える。
杖を持って、空中に座っている。
足は、地面についていない。
どうなっているのか。
近づいた。
じっと、見た。
わからない。
トリックがあるはずだ。
だが、わからない。
人だかりができていた。
みんな、写真を撮っている。
わたしも、撮った。
浮いている人は、微動だにしない。
じっと、している。
まるで、彫刻のようだ。
不思議だった。
夕方になる。
太陽が、沈んでいく。
空が、オレンジ色に染まった。
カレル橋の聖人像が、シルエットになる。
プラハ城も、シルエットになる。
ヴルタヴァ川に、夕日が映る。
きらきらと、光っている。
夕日に照らされて、オレンジ色に染まっている。
橋を渡り終えた。
浮いている人は、微動だにしない。
セカイはまだナゾにみちている
―ああ、またひとつ、夕日の橋で、ひとりごつ。
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