馬車が、走っている。ウィーン、タイムスリップした街。
この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」
ウィーンに着くまで、ヨーロッパをわかったつもりでいた。
街を、歩く。
石造りの建物が、並んでいる。
古く、美しい。
馬車が、走っている。
ぱかぱか、ぱかぱか。
馬の蹄の音が、石畳に響く。
現在なのに。二十一世紀なのに。
馬車が、走っている。
まるで、タイムスリップしたようだ。
オーストリア国立図書館プルンクザールへ行った。
中に、入る。
息が、止まる。
天井が、高い。
フレスコ画が、描かれている。
天使、雲、神々。
金色の装飾。
そして、本棚。
何段にも重なった、本棚。
古い本が、ぎっしりと並んでいる。
何万冊。何十万冊。
まるで、ハリーポッターの世界。
ホグワーツの、図書館。
そのまま、ここにある。
ただ、立ち尽くした。
ここは、別世界。
天井のフレスコ画を、見上げる。
美しい。
圧倒的に、美しい。
旅は、こうした瞬間に、静かに報われる。
―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。
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