砂漠が、海に溶ける。モザンビーク、バザルト島。
この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」
ボートが、島に近づいていく。
白い砂浜。
透明な海。
そして、砂丘。
巨大な砂丘が、島の中央にそびえている。
高さは、九十メートル。
砂漠の砂丘が、海の真ん中にある。
不思議な光景だった。
砂は、白い。さらさらしている。
足が、ずぶり、ずぶりと沈む。
モーリタニアで見た、赤茶けた砂漠。
ボツワナで見た、白い塩湖。
だが、ここでは。
砂漠が、海に、溶けている。
砂丘を登る。
てっぺんに着くと、視界が開けた。
片側は、砂丘。茶色い砂が、うねうねと続いている。
もう片側は、海。青い水が、どこまでも広がっている。
砂漠と、海。
風が、ふうっと吹く。
砂が、ぱらぱらと舞い上がって、海へ落ちていく。
ここは、アフリカなのだろうか。
これまで旅してきたアフリカとは、何かが違う。
砂漠でもなく、草原でもなく、街でもなく。
異国だった。
島を出て、街に戻る。
レストランで、ペリペリチキンを注文した。
モザンビークの名物。
運ばれてきたチキンは、真っ赤っかだった。
ひと口、かじる。
辛い。むちゃくちゃ、辛い。
舌が、ぴりぴりする。
喉が、ひりひりする。
水を、がぶがぶ飲む。
それでも、辛い。
だが、やめられない。
汗が、じわりと額に浮かぶ。
食べ終わっても、口の中は、まだぴりぴりしていた。
だが、お腹は、満たされた。
モザンビークは、ポルトガルの植民地だった。
だから、このペリペリチキンも、ポルトガルの影響を受けている。
アフリカだが、アフリカではない。
バザルト島も、そうだった。
砂漠と海が、混ざり合っている。
モザンビークは、不思議な場所。
―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。
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