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気まぐれな路地裏の、絶品サバラップ探し。

この文章は世界の街を切り取った旅エッセイです。
題して「見知らぬ異国で、ひとりごつ」


イランではなかなかうまいものにありつけず、わたしは食への期待を胸に、トルコのイスタンブールへとやってきた。
世界三大料理は、中国、フランス、そしてトルコだというが、日本が入っていないのは、どうにも納得がいかない。特に現在の為替を考えると、安くてうまいのは断然、日本だろう。

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イスタンブールに着いてまず試したのは、名物のサバサンドだ。パンに挟まれたサバは、それなりに美味しかったが、わたしの心はあまり満たされない。ベトナムで食べたバインミーに軍配が上がる。

しかし、この街には、サバサンドを凌駕する、もっと美味しい出会いが待っていた。
橋の近くの路上で、おじさんがサバをジュウジュウと音を立てて豪快に網焼きしている。その香ばしい匂いがふわ〜っと鼻腔をくすぐり、思わずわたしは足を止めた。おじさんが焼きたてのサバを、トルティーヤ生地にクルッと包み、たっぷりの野菜と具材を加えてくれる。

一口食べると、ふわっと広がるサバの脂。それは、まるで溶けるバターのようになめらかだ。そして、シャキシャキとした野菜の食感。その全てを包み込むのは、まるで日本の醤油のようでありながら、異国のスパイスがフワッと香る、不思議な味付け。その絶妙なハーモニーに、わたしはハッとさせられた。

その日から、わたしは毎日、そのサバラップを求めて、橋の近くをうろうろとさまよった。しかし、おじさんは気まぐれなのか、やっていない日もある。見つけたら絶対に食べてほしい。
トルコと日本の、遠い土地の文化が、思いがけず懐かしさと重なり合い、私にそのつながりを教えてくれた。単なる食事ではなく、異国でふいに出会った故郷の味……涙出そうになった。

―ああ、またひとつ、見知らぬ異国で、ひとりごつ。


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