乙女塾・スタジオさつきぽん代表 西原さつき(後編)
Q:自分や当事者だけでなく、社会も意識する意図について教えていただけますか?
A: 世間的には、トランスジェンダーは地雷が多くて面倒くさそうなイメージがあるのではないでしょうか?私には、それをポップなイメージに変えたいという目標があります。
個人的には、自分たちのことを分かってほしいという主張があるのなら、まずは社会にも理解してもらえるよう努めるべきと考えています。セクシュアルマイノリティの世界って閉鎖的な印象もあると思いますので、自分から明るい雰囲気を出していきたいと思っています。
トランスジェンダーの当事者からしたら、自分の性や身体のことで散々苦悩したり制限してきたのに、世間の女性らしさに縛られてしまっていることが多い気がするんです。仮に、社会とのズレが生じたからといって生きづらさを感じる必要なんてないと思うんです。
自分の好きなスタイルを貫きつつ、イメージカラーを身に纏うことで、自分や当事者だけでなく社会へ向けてのアプローチもしています。
Q:そういった思いがあったのですね。社会へのアプローチとして、なにか工夫されていることや取り組まれていることはありますか?
A:この世界で生きていくのなら、社会から求められていることにある程度応える必要があるときもあると思っています。なので、LGBTQ当事者とかトランスジェンダーといったアイデンティティをを全面に出した方が仕事をしやすいという側面もあると思うので、その求められていることに応える姿勢をとっています。
もしかしたら、社会は女性である私でなく、セクシュアルマイノリティである私を求めているということも理解しながら活動しています。
Q:女性としての生活ができていなかった頃に、女性としてやりたかったことは何ですか?
A:アイドル声優でしたね。これまで声優のお仕事はしませんでしたが、俳優のお仕事はさせていただき、現在は歌手活動もしております。

Q:さつきさんは、どんな時が安心しますか?
A:鏡の前にいる時ですね。
男性でしたらナルシストと言われてしまうかもしれませんが、女性だったら美意識が高いということになりますものね。
Q:さつきさんが、なりたい自分になれているから鏡を見て安心するのでしょうか?
A:今ならそう思えていますが、ここまでに至る道のりは辛いこともたくさんありました。
30歳のとき、世界が白黒に見えて、食べた物の味すら分からない状態になりました。大好きなディズニーランドに行ってもまったく楽しいと思えず、感覚を失ったような状態になっていました。
おそらくトランスジェンダーとして生きていることに引け目を感じていたのだと思います。自分のしていることを反社会的なことでもしているかのように思い、本当に苦しかったです。
そのように暗鬱な気持ちで過ごしていても、女の子らしくすることは好きだったので、可愛らしくいるための自分磨きはずっとしていました。
そうしているうちに、無理に女の子になろうとするのではなくて、「女の子でいいんだ」という素直な気持ちのままでいることが大切であることに気付いたんです。
そう思えないから、何をしても楽しいと思えなかったのだという気付きも与えられました。
そして、そのような想いを内側に秘めたままの人たちがいる・・・その人たちのお手伝いがしたいと思うようになっていきました。
Q:さつきさんの過去が乙女塾の原点に繋がっていて、その同じような思いをされている方々のお手伝いがしたいというのが乙女塾の源にあるのですね?
A:そうですね。自分を見失いかけていた状態から見た世界に、自分と同じように苦しんでいる人の存在に気付いたんです。そうすると、自然と1人ではないと思えるようになっていきました。そして、自分が苦難の中で習得したメソッドをモノクロの世界にいる人たちに向けて展開していくようになりました。
乙女塾を訪れるみんながそれぞれの色で自分の世界を彩り、どんどん輝いていくのが私自身の幸せでもあります。それに、こちらはサービスを提供する側なのに「ありがとうございました。」って感謝されるんです。そういった思いが乙女塾の源にあります。

Q:ここに至るまで、さまざまなことがあったとのことですが、さつきさんの生きていく上で大切にしていることはどんなことですか?
A:何かをしようと無理に決めたり、自分の真の思いではないのに目標として掲げたことってだいたい上手くいかなくなると思うんです。でも、ある程度努力すればそれなりのレベルに達することはできますが、どこかで無理が生じて辛くなってしまうのではないでしょうか。そうなると、幸せでいられなくなってしまいますからね。
なので、内なる思いを大切にしながら自然発生的に溢れ出てくることが本物だと思うんです。そーゆうシンプルなことってイヤになったりしないから、継続しようとしなくても自然と続いていくんですよね。自分の好きなことや興味のあることに忠実に真っ直ぐ生きていくことが大切だと思います。
Q:さつきさんが描く理想の世界について教えていただけますか?
A:多種多様な個性が、輝きを放てるような社会になったらいいなって思っています。それぞれの人がもっている魅力を尊重し合える世界が理想ですね。

