失敗 ≠ 挫折
この春から8年目になりました、宮瀬です。
先月、熊本で行われた金栗記念に1500mで出場してきました。今回はその振り返りということで執筆の機会をいただきました。正直、レース内容に関して書けることは多くありません。そのため、出場までの取り組みや、そこから得た気づき、今後の抱負も含めて書いていこうと思います。
冬練、もがいた先に・・・
まず金栗記念の出場資格は昨年7月末の七大戦のOP1500mで獲得しました。そのレースでは北大OB(現山陽特殊製鋼)の高橋さんに積極的なぺースメイクをしていただき、自身としては3年ぶりに1500mでPBを更新しました。

しかし全日本インカレの標準には数秒届きませんでした。昨シーズンはそれ以降1500mで記録を狙える状態ではなかったため、翌年の金栗記念で全日本インカレの標準をカットすることを目標に、秋冬と過ごしました。
中距離種目は爆発的なスピードが求められる一方、シーズンを通した安定性や様々な展開をするレースへの対応には高い持久力が求められます。それでいうと私の持久力はいわゆるトップ選手のものには到底及ばないものでしたので、冬季の走練習はもっぱらその能力の改善に費やしました。一方でスプリント能力や、高スピードに耐えられる体づくりのために多くの技術練習も取り入れました。走行距離もウエイトトレーニングで扱う重量も、例年の120%ほどで取り組み続けました。強くなっているのも実感していましたし、このままいけば春先に大幅なPB更新ができると確信していました。

3月末にその考えは崩れ去りました。研究活動による約1週間の乗船後、練習をできなかった焦りから、少し休息を削ってのトレーニングの頻度が高くなってしまっていました。元々絶妙なバランスでなり立っていたトレーニングと休息のバランスが崩れ、体調を悪くしました。それがただの風邪などならまだよかったのですが、原因がよくわからない眩暈を発症し、立って動くこともままならない日々を1週間ほど過ごすことになりました。まともな運動ができるようになったのはレースの5日前からでした。
過去の自分が、今の自分を操縦する
このような状況の中での唯一の支えは、冬季の自身の取り組みを信じて、それが数週間で失われるはずがないと自分に言い聞かせることでした。とにかくスタートさえしてしまえば、あの時の努力が何とか体をゴールに運んでくれるだろう、そう思えるくらいには冬練に魂を込めていた自負があります。
レース当日、頭は依然重いままでした。幸い気温が高かったので、強く体を動かさなくても、ほどほど体は温まってくれました。久しぶりにスパイクに足を通し、いつもより手短にウォーミングアップは済ませました。レースに気を向けるには少しでも体力と気力を温存する必要がありました。
レースでは展開や周囲の走りに気を張らなくて良いように、後ろの方からじっくり構えることに努めました。ラストで少しスパートを掛けられ、結果は3rdベスト(おそらく)の3'53"98でした。思ったよりも良い記録でした。冬季練が少なくとも間違った方向に進んではいなかったということが証明でき、少しほっとしました。

最後に
正直今回の試合直前の体調不良はかなり絶望感を覚えました。かなり前から狙っていた大会であったこともありますが、初めて味わう種類の体調不良であったため、見通しをつけられず苦しい思いをしました。ただ、体調不良を引き起こした要因も自分でしたが、救ってくれたのも過去の自分でした。直前の調整には失敗してしまったけれど、過去の自分の取り組み、かけてきた労力は幻ではなく、間違いなく今現在の自分に流れている。そう思うと焦りは消え、休養は消極的ではなく積極的なものに変わりました。スタートラインには最高の状態ではなかったものの、少し胸を張って立つことができました。
今ではこの体調不良がシーズン序盤で引き起こされてよかったな、とも感じています。今シーズンは死ぬ気でやってやるぞという想いがありました。ただ自分がもう想いの力だけではどうにもならないような年齢で、以前より繊細になっていることに気づくことができました。今後の人生においてこの失敗は新たな手札として、活躍してくれることでしょう。
この文を書いていて、過去に自分が犯した多くの失敗や敗北が思い出されました。ただその瞬間はどれも新たな自分、新しい考えや視点に気づかされた瞬間でもあることに気づきました。どうせ立ち上がるんだから、あえて転んでみる。どうせ勝つのだから、負けたっていい。どうせ雪ぐのだから、恥かけばいい。以前とは異なる状況の自分を認めたうえで、アグレッシブさも失うことが無いように、丁寧かつ大胆に、さすがにもう延長しようのない学生生活を駆け抜けたいと思います。
長く学生をやっているので、早く学生カテゴリーから抜け出ること、学生カテゴリーを楽しみ尽くすことを目標に頑張っていこうと思います!!

