無価値の歩き方 #03「無関心」 ――第1章:優しい時間の使い方
無価値の歩き方
Laed:サエコ
無関心
「おい! 304番!」
背後から、無機質な声が飛んできた。
国家の徴税システムそのものとも言える黒い制服を着た男――ギルドの監査員が、手元の端末を不思議そうに叩きながらこちらへ歩いてくる。
「お前のリム・タグ……故障かもしれない。
異常値が出てる。
すぐにメンテナンスに……ん?
そいつは誰だ?」
監査員は境界線の外側にいる私に気づき、怪訝な顔をした。
「おい、お前……未換価地域の浮浪者か?
304番に何を接触させた」
「別に。
ちょっとお茶してただけだけど」
私はアルコールストーブをリュックにしまいながら、適当に答えた。
「お茶だと?」
監査員は手元の端末を強く叩き、カイの生体データを再スキャンしたのだろう。
直後、彼の顔が困惑から、信じられないものを見るような引きつりに変わった。
「なんだ、これは……。
タグの故障じゃない……?
数値が、本当に完全にフラットになっている……?
プラスでもマイナスでもない……エラーだ。
完全に沈静化している……!」
監査員は血相を変えて私を睨みつけた。
「お前……その子供に何を飲ませた!
感情抑制剤か!
それは重度の国家反逆――」
「ただのコーヒーよ」
私はアルコールストーブをリュックにしまい、立ち上がった。
監査員は、今度は私に向けて生体スキャナーを向けた。
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