ROCK of POPS ―― 失われたユニーク 4Days/4Day
失われたユニーク
MC: ユウ、ミライ
あんたの完璧な10秒を、私の不器用な一生で、
見たこともない色に染めてやる
三度目の雨、交差する独白
舞台中央、大きな砂時計のホログラムが静かに回っている。
【2年前:2024年】
詩織(CV:ユウ):
昼休み。
コンビニの弁当を片付け、私はプレイリストの先頭にあるAINEをタップした。
悔しいな……この疾走感。
ちょっと、マネできないよね。
まぁ、私はこの道は選ばないんだけどさ。
吐き出した声が、冷房の効きすぎた休憩室に白く消える。
私は、手元にあった物件案内のチラシをひっくり返し、その真っ白な裏面に、愛音の曲の鋭すぎるリズムに抗うような、重くて歪なコード進行を書き殴った。
インクが滲む。
私の指先には、一日中書類をめくっていたせいで、紙の匂いが染み付いていた。
【1年前:2025年】
愛音(CV:ミライ):
ライブハウスの裏口。
湿ったアスファルトの匂い。
一度目。
あなたのノイズを売って。
そう声をかけると、詩織さんに冷やかしなら帰れと一蹴された。
半年後、二度目。
まだ興味あります。
あきらめるつもりはありません。
詩織さんは、私はあんたの部品じゃないと、一度もこちらを見ずに背を向けた。
そして3ヶ月前、三度目の雨の日。
私は、詩織さんの過去の断片を、AIに無理やり食わせて吐き出させた不完全なトラックを、彼女の目の前で再生した。
雨音に混ざる、引き裂かれたようなギターの残響。
詩織さんは、ひどく傷ついたような、それでいて救われたような顔をして、ついにギターケースを開いた。
詩織:
……サンプリングだけ。
それ以上は、絶対に踏み込んでこないで。
ここから先は
2,321字
/
1画像
この記事のみ
¥
100
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで
この記事が参加している募集
少しでも”考えるきっかけ”になる記事を投稿していきます。気に入って頂けましたら応援よろしくお願いします。
