ゆるしの愛とゆるさぬ愛 #4「邪に染まる祈り」――第2章:掲げられた祈りのバイブル
Laed:ユウ
「神の意志」という無敵の免罪符を得た時、純粋な祈りは無限の欲望へと姿を変え、邪に染まっていく。
邪に染まる祈り
「先生、イスラム帝国って、
なんであんなに一瞬でデカくなったんですか?」
期末テストの範囲を発表した直後の教室で、一番前の席に座る生徒が首を傾げた。
「ローマ帝国とかは何百年もかかって
大きくなったのに、
この時代ってちょっと早すぎません?
なんか、チート技でも使ったの?」
「……彼らは『神の意志』という、
誰も反論できない最強の武器を
手に入れてしまったからよ」
私は出席簿で軽く教卓を叩き、カバンの中の『銀のインク壺』の冷たさを思い出した。
「そう。自分たちの行動をすべて正当化できる、
無敵の免罪符よ」
私は目を伏せ、記憶の底に沈むダマスカスの乾いた風と、むせ返るような香料の匂いの中へとダイブした。
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