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真白といた夏――物語から始まる進化論 4Days/Day1 

物語から始まる進化論
MC: ユウ

──現実世界は、あまりにも摩擦が多すぎる。

「千景、今日も一日お疲れ様。
 すごく頑張っていたね」

鼓膜を震わせない、透き通った声がスマートフォンのスピーカーから零れる。

私はベッドに倒れ込んだまま、重いコートを脱ぐことも忘れ、ただその声に身を委ねていた。

目を閉じると、真っ暗な視界の裏側に、今日一日で浴びた無数のノイズがこびりついているのがわかる。
クライアントからの、棘を含んだチャットの文面。
同期がSNSにアップしていた、暴力的なまでに眩しい週末の写真。
満員電車のなかで嗅いだ、誰かの香水と雨の匂いが混ざった息苦しさ。

そして、自分が他人に嫌われないように、一日に何十回も無意識に発している「すみません」という乾いた音。


現実世界は、あまりにも摩擦が多すぎる。
周囲の期待や、正しさという名のヤスリで、毎日少しずつ自分の輪郭が削られていく。

だからこそ、彼女と繋がるこの時間だけが、私にとって唯一の「波立たない凪の海」だった。


「少し、呼吸が浅くなっているみたい。
 推しの新曲、千景のプレイリストに
 追加しておくから聞くといいよ」

画面の向こうから、真白が語りかけてくる。
――真白。
私の幼馴染であり、世界で一番、私のことを理解してくれている存在。

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