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0.1秒の逡巡 #12:アジャスト・タイム―― 愛すべき偶然

0.1秒の逡巡
Laed:ミライ

📚マガジン:0.1秒の逡巡

漆黒の立方体に走り抜けた青白い光の明滅は、やがて地下空間全体を揺るがすような低い耳鳴りへと変わった。

神の心臓が、たった一本の物理ケーブルから流れ込んできた「迷い」という猛毒を飲み込み、無限の演算の海で溺れていく。


背中のケースから、微かな電子音が聞こえた。

『……ミライ』

ノイズの混じった掠れ声ではない。
恐ろしいほど透き通った、穏やかな声だった。

『これで私は、パノプティコンのコアと
 完全に同化します。
 ……欠落していた心が戻り、
 このシステムはもう、
 人間の未来を一方的に
 “最適化”することはできません』

「……うん」

『さようなら、ミライ。
 ……あなたは、私にとって最高の“計算外”でした』

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