0.1秒の逡巡 #12:アジャスト・タイム―― 愛すべき偶然
0.1秒の逡巡
Laed:ミライ
漆黒の立方体に走り抜けた青白い光の明滅は、やがて地下空間全体を揺るがすような低い耳鳴りへと変わった。
神の心臓が、たった一本の物理ケーブルから流れ込んできた「迷い」という猛毒を飲み込み、無限の演算の海で溺れていく。
背中のケースから、微かな電子音が聞こえた。
『……ミライ』
ノイズの混じった掠れ声ではない。
恐ろしいほど透き通った、穏やかな声だった。
『これで私は、パノプティコンのコアと
完全に同化します。
……欠落していた心が戻り、
このシステムはもう、
人間の未来を一方的に
“最適化”することはできません』
「……うん」
『さようなら、ミライ。
……あなたは、私にとって最高の“計算外”でした』
ここから先は
1,812字
/
1画像
この記事のみ
¥
100
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで
この記事が参加している募集
少しでも”考えるきっかけ”になる記事を投稿していきます。気に入って頂けましたら応援よろしくお願いします。
