ゆるしの愛とゆるさぬ愛 #7「願いは知恵の実を求める」――第3章:編み込まれた願いの物語
Laed:ユウ
📚マガジン:ゆるしの愛とゆるさぬ愛
理性で神に近づきたいという人間の願いは、剣よりも強く、そして眩しい知恵の黄金郷を生み出した。
願いは知恵の実を求める
「先生、中世ってなんか暗くて
お堅いイメージですよね? 息が詰まりそう」
放課後の図書室。
歴史図録をめくっていた生徒が、ふと眉をひそめた。
「そうね。
でも、今から1200年前のバグダードは、
世界で一番『眩しい』場所だったのよ」
私は書架の影に寄りかかり、カバンの中の『銀のインク壺』にそっと触れた。
「知性が爆発して、あらゆる欲望と好奇心が
混ざり合っていたカオスの都。
人間の理性が、神様に追いつこうとしていた
夢のような時代よ」
私は目を閉じ、黄金とインクの匂いが立ち込める円城都市へとダイブした。
八世紀末、アッバース朝の都バグダード。
「円城」と呼ばれたその都市は、まるで世界のへそのような完璧な幾何学模様を描いていた。
その中心部には、「知恵の館(バイト・アル=ヒクマ)」という名の巨大な図書館兼研究所がそびえ立っている。
一族の末裔であるファーリスは、そこで働く若き翻訳家だった。 彼を取り囲むのは、ラクダの隊商が何ヶ月もかけて運んできたパピルスや羊皮紙の山だ。
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