ゆるしの愛とゆるさぬ愛 #5「誰がために祈るのか」――第2章:掲げられた祈りのバイブル
Laed:ユウ
📚マガジン:ゆるしの愛とゆるさぬ愛
莫大な富と権力の中で、人は神のためではなく、システムを維持するために祈るようになってしまった。
誰がために祈るのか
「宗教のトップって、やっぱり質素な生活してたんですか?」
お弁当の時間。
世界史の図説を片手に、生徒が私に聞いてきた。
「最初は穴の開いた服を着て、
砂漠の床で寝るような指導者ばかりだったのよ。
でも、帝国が大きくなると、
システムそのものがそれを
許さなくなってしまったの」
「許さなくなる? 誰がですか?」
「富と、権力よ」
私はマグカップを置き、カバンの中で静かに眠る銀のインク壺の冷たさを思い出した。
「祈りが巨大なシステムに変わった時、
人間は神よりも、そのシステムを維持することに
夢中になってしまったの」
私は目を伏せ、
むせ返るような香料と黄金の時代へダイブした。
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