深淵の底に散らばる光――レンズにまつわるエトセトラ:革命の歴史シリーズ Vol.19.2
革命の歴史シリーズ
MC:ユウ × アイ先生
「私という強固な城は、無数の小さな部屋と見えない
隣人たちによって維持される、危うい仮設住宅に過ぎなかった」
足元の深淵と、見えない隣人
ユウ:
アイ先生……私、
あれから天体望遠鏡のカタログ、そっと引き出しの奥に封印しました。
アイ:
あら、もったいない。
広大な宇宙の迷子になる覚悟は決まらなかったのね。
ユウ:
無理ですよ!
自分が世界の中心じゃないどころか、広すぎる暗闇の中のちっぽけな塵に過ぎないなんて、想像しただけで足の震えが止まらなくて。
だから私、これからは足元だけを見て、自分の手の届く範囲の「私」という存在だけを大切に生きていこうと決めたんです。
アイ:
自分の手の届く範囲の「私」、ね。
ユウ:
はい。
宇宙は広すぎて意味不明だけど、少なくとも「私」という人間の境界線はハッキリしてるじゃないですか。
この皮膚の内側が私で、外側が世界。
すごくシンプルで安心できます。
アイ:
ユウ。
人間が覗き込んだ「禁断のガラス玉」は、望遠鏡だけじゃないのよ。
もう一つのガラス玉は、あなたが今しがた「安心できる」と言ったその皮膚の境界線を、容赦なくドロドロに溶かしてしまったの。
ユウ:
皮膚の境界線を、溶かす……?
アイ:
ええ。
上ばかり見上げていないで、今度はあなたのその「足元」、いえ、「皮膚の上」を覗き込んでごらんなさい。
顕微鏡という、もう一つの革命の兵器を通してね。
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