ゆるしの愛とゆるさぬ愛 #6「その祈りは何を尊ぶか」――第2章:掲げられた祈りのバイブル
Laed:ユウ
📚マガジン:ゆるしの愛とゆるさぬ愛
同じ神への祈りが、解釈の違いという純粋な刃となって、互いの喉元を切り裂き合う。
その祈りは何を尊ぶか
「先生、遠い昔の争いを、
なんで今の時代まで引きずってるの?
何が違ってそこまで憎み合えるのか、
全然わかんないです」
放課後の教室。ニュースアプリをスクロールしていた生徒が、ふと顔を上げて問いかけた。
「……悪と戦ったわけじゃないからよ」
私は手元のチョークを置き、教卓の隅の『銀のインク壺』にそっと触れた。
「誰よりも純粋に神を愛し、
正しさを求めた結果なの。
正義と正義がぶつかり合った傷跡は、
千年経っても消えないくらい深いのよ」
私は目を閉じ、栄華を極めたダマスカスの宮廷が、崩れ落ちていく最期の喧騒へとダイブした。
八世紀半ば。
ウマイヤ朝の宮廷の廊下には、むせ返るような香水と、隠しきれない生臭い血の匂いが漂っていた。
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