老いを忘れる世界――叡智の福音 4Days/Day1
叡智の福音
MC: サエコ
──命が朽ちることをやめた世界は、どこまでも美しい永遠の秋だった。
永遠の秋に包まれた風景
私は今、穏やかな日差しが降り注ぐ、
見知らぬ街の石畳を歩いている。
風が吹き抜け、
プラタナスの葉が乾いた音を立てて足元に落ちていく。
通りを行き交う人々の姿は、まるで一枚の絵画のように美しい。
カフェのテラス席で静かに紅茶を傾ける老紳士。
花壇の手入れをするご婦人。
彼らは皆、実年齢でおそらく八十歳、あるいは九十歳を超えているはずだが、その背筋は一本の糸で天から吊るされているようにピンと伸びている。
腰が曲がり、杖にすがりつくような姿はどこにもない。
肌には刻まれた年輪としての静かなシワはあるものの、病的なシミや、生命力が枯渇していくような特有の濁りはない。
澄み切った、まるで上質な和紙のような透明感のある肌。
彼らの歩みはゆっくりだが、決して不確かではない。
老いというものがもたらす「崩壊」のプロセスが、この街では完全に停止しているのだ。
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