見出し画像

運命の香水ゲランミュゲ 後編 〜10万円の香りをどう思ったか〜


『本当に買えてよかったね…。
私はお姉ちゃんみたいに
大人になってから、欲しい物でそこまで
喜んだり悲しんだりしてないな〜って…なんか
楽しそうでいいなぁって思った!
私も何かワクワクする物探そうかなぁ』

2、3日で届くと思うよ!

そう言って妹は
購入ページのスクショを送ってくれた。

公式サイトから引用

あと数日でミュゲが来る。

私は既に頭に入っているミュゲ情報を
更に読み返したりして、ミュゲがある生活をイメージして過ごしていた。


スズランの香りを私は知らない


でもスズランの花はずっと素敵だと思っていた。

釣鐘みたいな小さな花が連なり揺れる様(想像)
は可憐で清楚に思えたし
フランスの、相手の幸せを願ってスズランを贈る文化も心に響いた。


スズランの花を幸せの象徴に思う人々が世界に沢山いることや

別名で聖母の涙と呼ばれていること

あの見た目で実は毒があることなど

全てのストーリーが魅力的に心に響いた。

今まで知らなかった領域の
すごい香水が来る

それを手に入れた時、私はどんな気持ちになるのだろう?

新しい何かを掴むような体験が、そこにはある気がしていた。

そして2日後、ついにミュゲは届いた

もっと素敵に撮りたかった

箱を開けたら、居た

Instagramに現れたあのボトルが
ガチっと箱にはまった状態で
何かの部品みたいなものと、細い小瓶と共に並んでいた。

誰にも見せる気がなかったから
構図などは一切気にしないで撮った当時の写真
 

ジュエリー部分も、動画や写真で見た通りの
美しい出来栄えだった

すごい、これが10万円近くする香水かぁ〜

光にかざしてみたり
瓶の表面の蜂のマークをじっと眺めたり
私はしばらく、瓶の見た目と重さを楽しんだ

そういえば、どうやって使うんだっけ?

箱の中を見ると、細い小瓶はアトマイザーで
その中に既に、割とたっぷりとミュゲが入っていることに気がついた。

なるほど、こんなにたっぷり使えるんだ〜!
さすが10万円…。

いよいよ私は、アトマイザーの中のミュゲをひと吹きしてみることにした。

シュッと手首に一吹きして、香りを吸い込んだ

めっちゃいい匂い


1回も試さずに買った香水としては
ある意味奇跡的に?

今考えても、ミュゲは私の好みの香りだった

良い匂い


もうこれは、間違いなく 
すごく良い匂い

不満など、一切ない!
完璧なる良い匂い。

エレガントで、可憐なスズランの香りだ!

どのあたりがスズランの香りなのか

この香りが10万円することが相応しいのか

そんなことは全然わからない
ただ、この香りを買って良かった。

満足してゴロッと横になった私を
覗き込んだ夫が
『どう?10万円の香りは?』と聞いてきたので

私は満面の笑みで「良い匂いだよ!!」
と答えたら

ぶはっと吹き出して
『感想それだけ!? そんな感想なんだったら
10万も出して買わなくてもいいだろぉ〜』
と楽しそうに笑っていた

それもそうかも…
と思って、私はミュゲの香りを何とか別の言葉で言い表そうとしたが、どう考えても
『良い匂い』しか出てこなかった。

この時の私は、香りを言葉で言い表すことを知らなかった。
どのように表現することで、香りを人に伝えたり
感じたことを言い表せるのか、全く分からなかった。


中学生の頃から香水を愛していたし
沢山集めていたけれど

いつも誰かが書いた、香りの説明文や
香水への想いを読んで思いを馳せるだけで

どのように、自分の言葉で香りを表現しようか?
そういったことに挑戦したことは、全くなかったのだ。


この香りを表す言葉を、私は持っていない


嬉しくて、楽しい気持ちの中で
ひっそりと何かが生まれていたのかもしれない


アトマイザーはカバンに入り常に持ち歩かれ

ミュゲのボトルは箱に仕舞われ、クローゼットの中に置かれた

私は毎日、ひっそりと箱を開け中を確認した

居る

ミュゲはいつもハッとするほど美しく

ジュエリーを身につけて輝くボトルは
ちょっと信じられない姿だった


 

オードトワレの美しさが良く出た
軽さがあるが

決して安っぽいとは思わない可憐な香り

誰かの良質な生き方を表すような
エレガントな香りの骨格があり、明るく繊細な
スズランの存在感は

この香りと共に歳をとりたい 
という想いを私に抱かせた


そしてそれを言葉に出来ない自分が
どこか不思議だった。

感覚を言い表わすことって、難しいんだな。。

でも、それが出来たらどれだけ楽しいんだろう

ミュゲを機に、私の香水集めは再開した。

もうそれは、爆速で


頭の中は香水への想いが無限増殖し
この時期私は、無意識のうちに香水を言葉にする感覚を育てていっていたように思う。

そして、2023年の秋にTwitterを始める。


公式サイトから引用

ミュゲが届いた後、私はすぐに
妹にアクアアレゴリア 
パンプルリューヌを贈った。

妹はすぐに電話をくれ
『ありがとう!香水なんて、もう何年もつけていないから、すごくワクワクする!実は、お姉ちゃんの香水を買ったときに、私も香水欲しいなぁって思ってたんだよね!』と喜んでいた。

この2年後の2024年の5月に
ルイヴィトンのオートパフューマリーの旅に自分も一緒に行き、私達のオーダー香水を作ることになることを、彼女はまだ知らない








いいなと思ったら応援しよう!