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だっこ係になりたくて (エッセイ #未来のためにできること)

「そろそろ行こうか」
と声をかけ、私は長女と家を出た。

うちの子は行き渋りがある。就学して6年生の今でも、ほぼ毎日私か夫が学校へ付き添う。
遅刻したり休んだりするので、それをよく思わない子たちがクラスにいて、疎外感も抱いているようだ。

担任の先生に事情を伝えたり、副校長にも話をしたりした。でも、私が話し下手なのもあるのか、途中で遮られたり長女に全て原因があるようなことを言われ、のれんに腕押しのような印象だ。

このままではまずいと、学校での絵本の読み聞かせに参加することにした。夏休みのため9月からの活動になるが、初回と2回目は6年を担当する。
いろいろと準備したが、当日に台風が来てあいにく中止となった。
残念だが月に何度かあるし、目的は長女が登校できることだ。
その日は風雨が強くて危険だと判断したら、欠席扱いにはならない。

「遅刻しても大丈夫だよ」
と伝えると長女は少し安心したようだ。
一緒に登校し、5分ほど遅れた位で着いたのでホッとした。

帰る途中、校内の特別支援クラスの横を通る。すると3、4年生位の子たちが先生に促され廊下へ出ていた。
なんとなく眺めていたら、その内の女の子の1人がこっちを見ている。そしてスーッと寄って来て、抱っこのように両手を広げた。

私も思わず腕を広げ、その子と軽く抱っこした。
かわいいなと思っていると先生が
「だめよ、いきなりそんなことしちゃ…」
と注意する。私は
「大丈夫ですよ」と笑った。

最近朝ドラをよく見ている。子供好きの男性がいて、子供向けの商品を売っている。孤児院にもよく顔を出し、食料や必要な品を寄付していた。ヒロインの妹がそれを見て、こんな風に子供をよく抱っこするんですか?と聞く。

彼は
「子供に必要なもの。それはまず食べ物。次に音楽や物語」と言う。
「心の栄養ですね。それがあれば辛いことがあっても生きる支えになる」と妹。
彼は続けて言う。

「そして、人の体温。誰かに無償の愛をもらった記憶だ」

その言葉たちは強く心に響いた。
そんな風に、私も心の栄養や人のぬくもりを自分の子供や近所の子などに、与えたり伝えられたらと思う。

今の世の中はけっこう生きづらいし、ざわついている。けれど、少しでも子供たちが生きやすくなるよう心がけたい。
そして彼らが大きくなった時、幼い頃の記憶は忘れてもかまわないが、次の世代の子たちに優しくしたり、何か心の栄養などをあげられる人になってくれればと願っている。

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