サクラサクヨル(二次創作・ゲ謎 父+水)
お久しぶりです! 今日もゲ謎の二次創作を上げます。以前本に収録したものですが、どうぞよろしくお願いします。うっすら映画のネタバレなのでご注意ください。
気がつくと、見知らぬ所にいた。辺りはくらい。
いつの間にか、誰かが側にいた。
「久しいな、友よ」
誰だろう。目を凝らすが、覚えがない。かなり背が高そうに見える。
「元気か」
「ああ」
分からないまま、返事をする。
男は前を向いた。そこには大きな桜の木があった。樹齢も百年以上は軽く超えていそうだ。ちょうど満開で、重そうに花をつけている。見事な咲きっぷりに言葉を忘れた。
「……美しいな」
「そうじゃのう」
しばらくその景色を二人で眺めている。
「子は息災か」
「ああ。いたずらばかりしている」
そんな事も知っているのかと思いながら答えた。
そうか、と彼はニコニコしている。子ども好きなんだろうか。
胸ポケットのピースを吸おうとすると、スッと横取りされる。
「一本しかないんだから返せ」
「まあ、そう言うな。たまには一服させてくれ」
そう言って、俺に火を点けさせる。そしてうまそうに紫煙を吐いた。
――前にもこういった事があったような。
けれど、昔の記憶は霞がかっていて、よく思い出せない。
桜の下には大きな池があった。真っ赤な色をしている。それが桜にも反射して、まるで赤い花びらをつけているようだった。
それを見ていると、なぜか深い悲しみが襲ってくる。しんみりしていると、彼の側に何かの気配が近づいた。背はそれほど高くない。《それ》も、彼のように和服を着ているようだ。
「――もうそんな刻か。
ではな。またいつか、酒を酌み交わそう」
男はそう言うと立ち上がる。
「おい、」
呼び止めようとすると、不意に風が強く吹いた。桜吹雪が舞う。腕で顔を庇って視線を戻すと、そこにはもう誰もいなかった――
俺はおもむろに瞼を開く。
――夢か。
けれど、どこか懐かしい気がした。ぼんやりしていると、頬がぬれているのに気づく。
俺はどうして泣いているんだ? 考えるが、分からない。ただ、ひたひたと胸に迫る何かがあった。
部屋のすみに、花びらが一枚落ちていた。
了

