鬼百合時間  鬼りんご

(行を明示するため、空白行以外の全ての行末にスラッシュを施します。)



鬼百合時間


今こそわたしは全開する/
花弁のへりなどや糜爛期に悶へうねつて乱れ/
黒紫点つぶつぶみにくくおおつぴらに反りかへる/
これ見よがしに反りかへる さう反りかへる/


青までの距離?/
それはこの一撃の朱色で測れ/
一天雲無く中空靄無し/
ただ青と朱と対峙の距離の絶望あるのみ/

盛んな花の重量に俯いても雄蕊の葯は歓びに頭を振りあげ/
風に虫にしつこい褐色花粉の射精をやめるべくもない/
そして雌蕊はさあわが性器を見よと最も長く外へ突き出し/
成熟の柱頭はねばねばと自らをもてあます/

われら 他とあらそはず/
ただ境涯と宿命とを狂ほしく咲き放つのみ/

ゆゑにいま高らかに全開を宣言する/
天下しばしわが時代に入れり と 一輪 いや三輪八輪/



(「こどもだま詩宣言」対応 原文縦書き・行末スラッシュ無し)

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