この気持ちに名前をつけるならば

あの先生、本当は女らしいよ。
なんか男みたいにしてるけど。
結局どっちなんだろ?トイレどっち入るのかな?そう言って笑いながらそんな風に話す男子たちの声が聞こえてきました。
なんで高校生にもなってそんな大きな声で嫌なこというのかな?とか思ったけれど、
その時私はやっぱり先生の性別が男でも女でも
どっちでも良いし、
わたしが先生を好きなことには変わりがないなと改めて気づきました。
クラスの男子にはあまり好みの人はいないし、
高校生のわたしは話す気にもなぜかなりませんでした。
でも自分でも、先生に特別な感情を持つなんて思ってもいなかったから驚いたし、
この気持ちに名前をつけようとしたり、
なぜ好きなのか理由を必死に布団の中で探したりしたけれど、
先生に会えばただ話していて楽しくて
好きという気持ちは本当なんだよ!と、
体が心の葛藤とは逆に無条件に反応するので、
もう難しく考えずに自分の気持ちを認めることにしました。

わたしが当時通っていた高校には体は女性だけれど心は男性の先生がいました。
わたしはそういう人たちがいることは知っていたけれど、実際に会うのは初めてだし
話を聞いた時は少し身構えてしまいました。
でも、いつの間にかわたしは先生と話をしたくて
友達と昼休みに話かけに行ったり、
授業が終わったあとも時間が許す限り授業のことやその他のことも他愛のない話をたくさんしました。
先生は全く嫌な顔をせずにいつもわたしや友達の話を聞いてアドバイスをくれたり楽しそうに話を聞いてくれました。
わたしは先生が1番話しやすくて優しくていつの間にか大好きになっていったし、
クラスのみんなも先生のことが好きだったと思います。

ある日、誰かが先生は2人暮らしをしていると聞いたと言っていました。
真偽はわからないけれど本当なんだろうとなんとなく感じました。
誰と暮らしているか、
どんな関係の人かはわからなかったけれど、
わたしは先生なら絶対モテるだろうし
相手もいるだろうな!と思っていたので、
ちょっと相手の方が羨ましかったし私も先生のこと本当は好きだったけれど、
そんな気持ち声に出すことも、本人に伝えることもなく約2年間わたし1人の心に留めていました。
あの時の私は、今思えば先生が本当は女性だから?それとも先生だから?
きっとパートナーの方がいたから?
だからわたしは自分の気持ちに
自分でブレーキをかけていたのかと今更
自問自答してみると、その全部が当てはまると気づきました。
わたしもやはり先生は本当は女性だって思っているから、
好きになるのに性別なんか関係ないとか思っていたけれど無意識に性別で区別していたのに気づいた時、
わたしの正体はあの男子たちと同じかもしれないと思い自分のことが嫌になりました。
でももし、先生と生徒の関係じゃなかったらどうなっていたかな?
わたしと先生がどうにかなって付き合うことになったらと想像してみたら恥ずかしくなったし
心拍数が上がっていくのがわかって
その時わたしは先生に恋愛感情を抱いていることにも気づき、
人を好きになるのに性別はやっぱり関係ないんじゃないかと思いました。
わたしは男性とか女性とかそんなのは抜きにして先生だから好きになったのです。

先生はあの時に私の黒くて長い髪のことを綺麗だから染めない方が良いと言ってくれたけれど、
高校を卒業してすぐにわたしは髪を切ってしまい、
肩につかないくらい短くして茶色に染めてしまいました。
なんとなくもう毎日先生に会うわけじゃないし、
良いかなって気持ちだったけれど、
少しもったいなかったかな?
あの時のわたしは先生だから好きだったけれど
10年以上経ってみてもう一度あの時の自分の気持ちを思い出し、あの感情は恋だったのか、
尊敬だったのか、両方だったのか今も考えたりしますが、
はっきりと答えを出すことはできませんでした。
それでも好きという気持ちは本当だったので
この気持ちに名前をつけようとするのはやめました。
この気持ちはこれからもずっとわたしの中に閉まっておきます。

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