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『時空郵便局 第四便』是非に及ばず——織田信長、最後の火

まだ来ぬ未来に怯えて、今をドブに捨てるとは、愚か者の極みよ。



……騒ぐな!未来を案じて震える暇があるなら、今、目の前の敵を一人でも多く斬れぃ。


おぬしが恐れている『将来』などというものは、
まだどこにも存在せぬ幻に過ぎぬ。

存在せぬものに怯え、
今この瞬間の命を無駄に使い古すとは、
なんと度し難い愚かさよ


ワシを見よ。

ワシは常に、
この『今』という戦場をどう焼き尽くすか、
それのみに知恵を絞ってきた。


『天下布武』——。
塵(ちり)芥(あくた)の如き旧弊を焼き払い、
このワシの意志で時を刻む。
その覚悟の名よ。

神仏がどう動くか、
明日の天下がどうなるかなど知ったことか。
ワシが今日、己の理を貫き通したなら、
その結果が明日となるだけのこと。


『是非に及ばず』

——起こることは、起こる。


それを案じるなど、
天に唾を吐くも同じ、
無益なことよ。




見よ、この炎を!
ワシを焼き尽くすこの火の粉を肴(さかな)に、
耳の穴をかっぽじってよく聞けぃ!




貴様は『死ぬのが怖い』と抜かす。


だが、ワシに言わせれば、
明日を案じて死人のように今日を貪る貴様の方が、よほど不気味な(むくろ)に見える。


よいか!
貴様が恐れる未来など、
この世のどこにも在りはせぬわ!


今日という日を震えてやり過ごす者の目は、
知らぬ間に濁り、
腐った死人の如く曇っていくのだ。


ワシが見てきたのは、
天の差配などではない。
日々の小さな決断、
意志を貫く一歩が、
やがて天下を覆す。


それが真理よ。

今、貴様がなすべきは案じることではない。

泥にまみれ、
一歩を刻み出す。

それこそが、
この乱世という戦場に立つ者の、『生きた証』よ。

目を覚ませぃ!

今すぐ、
その『まだ来ぬ明日への不安』とやらを、
ワシとともに本能寺の炎で焼き払ってみせよ!


よしんば明日、すべてを失い、
この命が尽きると分かっておろうとも――。
貴様は今、
この瞬間にその茶器を愛で、
一振りの刀を研ぎ澄ます。
その業(ごう)を貫き通せるか!


確かなことなど、この世にない。
ただ、貴様が今、
己の意志で一歩を踏み出したという、
その『事実』こそが、
泥中の救いよ。


不安を抱え、震えながら進めぃ!

死ぬ間際に『もっと案じておけばよかった』などと抜かす阿呆は、
一人もおらんのだ。



貴様の命、
ただの案じ事に燃やし尽くすな。



織田信長


『未来など知らぬ。だが、今を生き抜く意志だけは、誰にも奪えぬ。』




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