冬の光、恩寵の光♯20-与えられた光が、いつか自分のものになる
Vertical Grace ― Awakened light
「光、空、春。――目覚めた光が、胸を射抜いた。」
―― 春を射抜くのは、僕の力ではない。与えられた恩寵(ひかり)に、魂を預けて。
和也編、最終話 ――
冬終わり / Awakened light / 春を射る
長い冬が終わろうとしていた。
和也は、まだ何も始めてはいない。
仕事のこと、美咲のこと、言えなかったこと。
答えの出ないまま抱えてきた冬が、まだ胸の奥にある。
けれど、あの冬銀河の光も、そこにある。
自分が生み出した光ではない。
ただ、与えられた光。
――眩しかった。
窓から差し込む朝日が、昨日までとは違った。
その光が、心の最も深い場所を、真っ直ぐに射抜いた。
どこかで、小鳥の声がした。
隣のベランダでは、小さな緑が光を受けていた。
和也は、ただ、光の中に立っている。
言葉が尽きた場所で、響き合う二つの鼓動。
「土を破る芽。胸を射抜く光。
それぞれの冬が、一つの春へ溶け出していく。」
―― 次回 Epilogue ― The Resonance of Thaw (雪解けの共鳴)―」
さよならも、ありがとうも、もういらない。
