【おもしろの仏像⑧】 仏都会津の日本一大きい立木観音 恵隆寺
二カ月ぶりに仏都、会津若松市を再訪した。
前回7月の夏旅で新幹線のトラブルで行きそびれた立木観音菩薩詣でを果たすためだった。
立木観音とは、根元が残る一本の大きな木に彫られた仏像で、会津だけでなく他県にもある。例えば日光山中禅寺の観音さま等だ。
郡山から会津若松へ

郡山で新幹線からJR磐越西線快速あいづ3号に乗り継ぐ。快速あいづ3号に設けられているわずか8席の一部指定席は、なぜかグレイヘアの人々で満席だった。
窮屈な指定席に座りながら、70分も電車に揺られた。自由席で足を投げ出し、ゆったり化粧している高校生が羨ましかったこと。大人になるといろいろな意味で生きるのが窮屈になると実感したりする。

夕刻、会津若松駅に到着。
循環バスあかべぇに乗ってホテルまでいこうと思っていたのに、最終バスは18時。前回訪ねて美味しかったパン屋Panfeel SHUNも既に閉店時間だった。
どこの地方都市も店じまいがはやい。
会津郷土料理 わっぱ飯とこづゆ
この日の夕食は会津料理と決めていたので、ホテル近くの料亭「田季野」に徒歩で向かった。日もとっぷり暮れて、足下が見えないほど暗い道を向かう。
「田季野」はわっぱ飯で有名な老舗の料亭だ。
客層は年配の家族連れや私のような観光客だ。土曜のこの日は女性客で混んでいた。


手前は朱塗の匙
わっぱ飯はご飯の上に蟹や鮭、ぜんまい、茸をのせて、セイロで蒸したもの。ご飯に具の味がしみて美味しかった。会津塗の細長い匙ですくって食べる。

小づゆは貝柱の出汁に、里芋、人参、キクラゲ、麩やこんにゃく等の具を入れた汁もの。貝柱の出汁が珍しく、かつては正月やお祝い事、法事などに出されたものとか。全体的に少し塩っぱい東北の味付けだった。
恵隆寺 立木観音菩薩
明くる日、乗り換えが2回もある会津バスでのアプローチは諦めて、JR只見線で恵隆寺に向かうことにした。
運行数が少ない只見線に乗るには、とにかく早起きが肝心。
会津若松市は、なぜか午前7時から8時半にかけてタクシーが非常に混み合い予約できない。バスの本数も少ないので注意が必要だ。
ホテルが駅から遠かったので、やっとの思いで会津若松駅8時41分発の只見線会津川口行きに乗る。恵隆寺立木観音に行くには途中の会津坂下(あいずばんげ)駅で降車する。そこからタクシーだ。


会津坂下駅に到着して、タクシーを呼ぶ。
会津タクシーに電話をすると、5分ほどで来てくれて、ともかくホッとした。
10分程走って到着、料金は1700円だった。
恵隆寺本堂の受付は9時からなので、少し境内を散歩した。


左手に受付がある

時間になるとご住職が現れ、受付の解錠をした。本堂に通されて料金300円を払うと、ご住職が内陣にある斗帳(とちょう)という大きな垂れ幕の脇を少し引いた。すると、そこに現れたのは巨大な千手観音菩薩さま。
斗帳というものも初めて見た。
通常、ご本尊は厨子の中に納められているものだが、あまりに像が大きいので布の斗帳がその代わりであるらしい。戸帳には千手観音菩薩の絵が描かれていた。

像の高さは約8.5mと巨大で、一木造で根が付いている仏像としては国内最大級の大きさだ。一本の欅の木に彫られ、根さえついていると言われている。大地に根をおろして立っている立木観音の名の由来だ。像は漆箔で、平安時代に作られたという説もある国指定の重要文化財だ。

( 立木観音堂HPより)
その両脇に二十八部衆と風神雷神の像が、段差のある壇上にひな飾りのように、びっしり並んでいた。
二十八部衆の像は少しづつ修復に出しているそうで、それにより造られた年代が判明しているそうだ。仏像が比較的保存状態が良好なのは、巨大な斗帳によって守られてきたことも一因であるらしい。
堂内はもちろん撮影禁止、像に触ることも禁止だが、観音さまの足だけは触ってもよく、足幅40cm程の足の甲は長年の人々の願いを受けて摩耗し、ぴかぴかに光っていた。

女性の苦痛や死への恐怖をやわらげる為だとか
千手観音菩薩は子年の守り本尊
仏教では生まれ年の守り本尊というものがきまっているそうだ。
千手観音菩薩は子年の人を守ってくれる仏さまだそうで、そのご利益は「諸願成就」。偶然にも私は子年生まれで、立木観音さまとご縁があったことが素直にうれしい。
千手観音の手は仏像では42本。正面で合掌する2本の手の他は、様々な法具や武器をもっている。それぞれの掌には眼もついているのだとか。たくさんの眼と手と法具で、命あるもの全てを救う最強の観音さまだ。
会津のおやつ 五郎兵衛飴
無事に立木観音詣でを終えて会津若松に戻ってきたのはお昼前。会津若松駅構内には、土産物を扱うショップがある。ここでお土産に五郎兵衛飴を購入した。
飴といってもハードキャンディではない。五郎兵衛飴の原料は、国産粳米と大麦、寒天。琥珀色の飴はオブラートに包まれていて、噛むと柔らかく、ほんのりした甘さがある。NHKの番組、グレーテルの竈でも紹介された麦芽飴がこれ。

創業800年の伝統ある飴だそうで、国主蒲生氏郷公、会津藩主松平公、共に携帯食料の一部に供されたと、添付の栞に書いてあった。
6個入400円 安くて素朴で、しかも美味しい。18個入のパッケージもある。実直な味が会津らしく、お土産にお勧めである。
