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【吃音症のリアル vol.3】入学式の点呼で、「はい」が言えなかった日

入学式

新しい環境に変わる時、誰にとっても少し緊張するものだと思います。

でも、吃音症を持つ人にとっては、その緊張の質が少し違います。

「今日、名前を呼ばれたら、ちゃんと返事ができるだろうか」

たったそれだけのことに、朝から胸がざわざわします。

返事は「はい」の一言だけです。内容を考える必要も、話をまとめる必要もありません。

なのに、その一言が、一番の壁になることがあります。

このvol.3では、私が高校の入学式で経験した話を書きたいと思います。

「たった一言のはずなのに、なぜあんなに苦しかったのか」を思い出しながら書いた記事です。

似たような経験がある方には、きっと「これ、私のことだ」と感じてもらえると思います。

▪️入学式の点呼で、「はい」が出てこなかった日

高校の入学式の日、体育館で新入生一人ひとりの名前が呼ばれる、点呼の時間がありました。

前の人たちは、名前を呼ばれるたびに、当たり前のように「はい」と返事をしていきます。

その様子を見ながら、私は自分の順番が近づくにつれて、心臓の音がどんどん大きくなっていくのを感じていました。

「たった一言、はいと言うだけだ」

そう自分に言い聞かせても、体は正直でした。

自分の名前が呼ばれた瞬間、口を開いたのに、声が出てきませんでした。

「は」の音が、喉のところで詰まって、そこから先に進んでくれないのです。

ようやく小さな声で返事ができたときには、顔が熱くなっていて、心臓が痛いくらい速く動いていました。

入学式が終わり、教室に入った時に先生に「なんで返事しなかった」とクラスメイトの前で言われました。

たった一言のはずなのに、それがどうしても出てこないという経験は、他人からは想像しにくいのかもしれません。

けれど、吃音症を持つ人にとっては、決して珍しい話ではないと思います。

▪️なぜ「点呼」は、吃音症にとって特に苦しい場面なのでしょうか

点呼という場面には、吃音症にとって特に厳しい条件がいくつか重なっています。

決められた一言しか言えない
内容を言い換えたり、別の言葉に置き換えたりする余地がありません

周囲が静かに待っている
詰まった瞬間の沈黙が、そのまま全員に伝わってしまいます

順番が予測できてしまう
自分の番が近づくほど、不安が積み重なっていきます


点呼のように「決まった一言」しか許されない場面は、吃音症にとって、最も対処が難しい場面のひとつだと感じています。

「はい」という、たった一言。

それだけのことが、これほど大きな苦しさになるということは、経験したことのない人には、なかなか伝わりにくいと思います。

けれど、こうして言葉にしてみると、「たまたま自分だけが弱いから起きたこと」ではなく、
点呼という場面の構造そのものに、吃音症にとって厳しい要素が重なっていたのだとわかります。

返事ができなかった。

吃音症の方なら一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

吃音症の症状がだいぶ軽くなってきた私でさえ、いまだに緊張してしまいますから。

次回も、学校生活で体験したエピソードを書きます。
是非チェックしてください。

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