オーストラリアの年収の壁は182万円。給与から差し引かれるのは所得税だけ。年金も掛金不要で受け取れる満足度の高い国
1. 103万円の壁
今、「103万円の壁」が報道されない日はない。年収が103万円を超えると所得税の支払いが発生するので、毎年12月になると学生が働き控えをするようになるという。親も、扶養する子供の年収が103万円を超えると、扶養控除を受けられなくなるため、税負担が増え、世帯の手取りが減ってしまう。
年収が増えると103万円の「税の壁」だけではなく「社会保険料の壁」も発生する。年収が106万円や130万円を超えると、パートで働く配偶者は社会保険料の負担が生じ手取りが減ってしまう。
一方、オーストラリアの個人所得にかかる所得控除は、約182万円 (18,200豪ドル)。1豪ドル=100円で換算。以下この記事ではこのレートを使用。この所得控除額は、国民民主党が要求している178万円に近い。
個人所得制度だけでなく、日本の社会保険制度も今後改善の余地がありそうだ。毎月給与から天引きされる健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料は毎年増額されており、海外と比べて高水準だ。
日本とオーストラリアの所得税制度及び社会保険制度を比べ、その違いを伝えたい。
2. 所得税制度の違い
a. 所得税控除額
日本: 103万円 (基礎控除+給与所得控除)
オーストラリア: 約182万円 (18,200豪ドル)
b. 住民税
オーストラリアでは住民税は存在しない。個人所得にかかる税金は所得税のみ。
2. 社会保険制度の違い
a. 厚生年金・国民年金
日本: 106万円または130万円超えると支払い義務が発生
オーストラリア: 本人の負担は一切ない。退職後は老齢年金が政府から支給される。
b. 健康保険
日本: 106万円または130万円超えると支払い義務発生
オーストラリア: 課税所得の1.5%を確定申告時に支払う。低所得者(単身の場合、3万5千豪ドル-約350万円以下)は支払が免除される
3. 毎月の給料から所得税だけ天引きされるオーストラリア
- 住民税は存在しない
- 年金の国民負担は不要
- 健康保険料は確定申告時に支払う
4. 夢のようなオーストラリアの年金制度
4-1. 本人の掛金なしで月20万円受給できる老齢年金
年金受給に本人の負担は一切ない。掛金なしでも、何と単身者で月約20万円、夫婦で月約30万円の老齢年金が政府から支給される。(2024年現在)
4-2. 雇用主が拠出してくれる私的年金(Super Annuation)
この年金は、政府が管理する老齢年金とは別に、退職後の資産充実を目的に設立された被雇用者を強制加入とする私的年金
雇用主には、被雇用者の賃金の 11.5%(2024年現在)に相当する金額を掛金として拠出することが義務付けられている
加入者自身は、任意で追加拠出を行うことができる
年金の運用プランは数多く用意されていて、加入者はリターンの大きさや安全性を考慮し各自の好みでプランを選択できる
運用結果にもよるが、退職時には、数千万円の資産保有が可能となる
5. 給与明細書の比較 (いろいろ引かれる日本)
<日本>
- 所得税、住民税、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、介護保険料
* 給与から差し引かれるものが多すぎます

<オーストラリア>
- 所得税
* 雇用主が積み立ててくれた年金額を確認できて、給与明細を見るとうれしくなります

[参考文献]
JETRO (オーストラリアの税制)
https://www.jetro.go.jp/world/oceania/au/invest_04.html
厚生労働省 (オーストラリアの社会保障制度)
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kaigai/08/dl/31.pdf
大和総研 (豪に学ぶ日本の私的年金改革)
https://www.dir.co.jp/report/research/policy-analysis/social-securities/20240524_024414.pdf
ニッセイ基礎研 (オーストラリアの医療保障制度について)
https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F8370275&contentNo=1
