夏休みはベルトクイズQ&Q──ラテカセに憧れた日々
4年生ぐらいの時だったと思う。
夏休みの朝、ラジオ体操の前に、近所の「さとちゃん」とよくおしゃべりしていた。
集合場所の横にある、下水道のマンホールを囲った丸いコンクリート。そこに腰かけるのが、私達のお決まりの場所だった。
その日、さとちゃんが急に言った。
「ねえ、お昼にやってる“ベルトクイズQ&Q”見てる?」
「え、なにそれ?」
私は全然知らなかった。
すると、さとちゃんは目を輝かせて説明してくれた。
「クイズ番組なんだよ。夏休み子ども大会で、私たちと同じぐらいの子がクイズに答えてるの!」
ほおおお。そんな番組があるんだ。
当時、我が家ではあまりNHK以外のテレビは見せてもらえなかったのだが、夏休みぐらいは特別に見ても許されるだろう。そう思い、早速お昼に見てみることにした。
司会は押阪忍。
本当に小学生達が、堂々とクイズに挑戦しているではないか。
今思えば、とても貴重な“視聴者参加型クイズ番組”だった。
勝ち抜いた子が最終問題に正解すると、天体望遠鏡や「ラテカセ」(ラジオ+テレビ+カセットデッキが一体化した家電)がもらえるのだ。
この“ラテカセ”が、とにかく魅力的だった。
当時はテレビは一家に一台が当たり前。
だから、自分専用のテレビだなんて夢のまた夢。
ラテカセを手に入れたら、画面は小さくても一人でテレビを独占できる。
しかも、なんだかスパイの道具みたいで、めちゃくちゃかっこいい!
しかもクイズが結構簡単に見えた。
「これなら私も出られるのでは?」
(…実際に出たら全然答えられない気もするけれどね。)
そして妄想はどんどん膨らむ。
テレビに映るのは恥ずかしいなぁ。でも楽しそう。
あれ、東京に行くのに交通費ってかかるのかな?
家族に反対されるかな?
そんな“もし出たら”の空想をするだけで楽しかった。
結局出演することはなかったけれど、
今でも思う。
一度でいいから出てみたかったなあ。
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