「EMC」と「CEマーク」は同じ?──実は多くの人が勘違いしていること 神楽智|電源ソムリエの技術ノート
「この電源はCE対応です。」
「EMCは取得しています。」
展示会や仕様書、技術打ち合わせで、このような言葉を耳にすることがあります。
しかし、実はここには、多くの人が勘違いしているポイントがあります。
EMCとCEマークは同じものではありません。
今日は、この違いを初心者の方や少しでも携わっている方々にも分かるように説明します。
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CEマークとは「EUへの入場券」
CEマークは、ヨーロッパで製品を販売するために必要となる適合マークです。
正式には、
「この製品はEUの法律を満たしています」
というメーカーの自己宣言を意味します。
つまり、CEマークは一つの規格ではありません。
複数の法律や規格を満たした結果として付けられるマークなのです。
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EMCとは何か?
EMCとは
Electromagnetic Compatibility
(電磁両立性)
の略です。
簡単に言えば、
電子機器同士がお互いに迷惑を掛けずに動作できる能力
のことです。
例えば、
スマートフォンの近くで電子機器が誤動作しない。
病院で医療機器が携帯電話の電波で止まらない。
工場でインバータのノイズが他の装置へ影響しない。
このような世界を実現するための考え方がEMCです。
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EMCには二つの試験がある
EMCは大きく分けると二つあります。
① エミッション(Emission)
自分が周囲へノイズを出さないこと。
例えばスイッチング電源では、
MOSFETが高速にON/OFFすることで高周波ノイズが発生します。
このノイズが電源ケーブルを通じて外へ流れたり、
空間へ放射されたりすると、
他の機器へ悪影響を与える可能性があります。
そのため
* 伝導エミッション
* 放射エミッション
などを測定します。
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② イミュニティ(Immunity)
外からノイズが来ても正常動作できること。
例えば
* 静電気(ESD)
* 雷サージ
* 高周波ノイズ
* バーストノイズ
を印加しても、
装置が止まったり誤動作したりしないことを確認します。
つまり、
エミッションは「迷惑を掛けない」試験。
イミュニティは「迷惑を受けても耐える」試験。
この二つがEMCです。
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CEマークの中にEMCが含まれる
ここが最も重要なポイントです。
電源メーカーの仕様書を見ると、
次のような記載があります。
* CE
* EN 62368-1
* EN 55032
* IEC 61000-4-2
* IEC 61000-4-5
* RoHS
これを見ると、
「CE」と「EMC」が別々に書かれているように感じます。
しかし実際には、
CEマーク取得のために、
EMC規格へ適合していることを示しています。
イメージすると、
CEマーク
│
├─ EMC
│ ├─ Emission
│ └─ Immunity
│
├─ Safety(安全)
│
└─ RoHS(有害物質)
という構造になります。
つまり、
EMCはCEマークの一部なのです。
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「CE EMC試験」と呼ばれる理由
実務では、
「CE EMC試験」
「CE EMCレポート」
という言葉をよく聞きます。
これは、
CEマーク取得に必要なEMC試験
という意味です。
そのため、
「EMC=CE」
と思われがちですが、
本来は違います。
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家に例えると分かりやすい
私は新人研修ではよくこんな例えを使います。
CEマークは
一軒の家
です。
その中には
* EMCという部屋
* 安全規格という部屋
* RoHSという部屋
があります。
EMCは家全体ではありません。
家の中の一つの部屋なのです。
つまり、
「EMCだけ合格した」
という状態は、
家で言えば一部屋だけ完成した状態。
まだ家全体は完成していません。
逆に、
CEマークを取得したということは、
必要な部屋がすべて完成し、
EU市場へ出荷できる状態になったことを意味します。
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電源エンジニアが知っておくべきこと
電源設計では、
EMC対策は避けて通れません。
入力フィルタを設計し、
配線を見直し、
グラウンドを最適化し、
シールドを追加する。
こうした積み重ねによって、
初めてEMC試験をクリアできます。
しかし、それだけではCEマークは取得できません。
安全規格への適合や、有害物質規制への対応なども含めて初めて、CEマークを表示できるようになります。
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まとめ
EMCとCEマークは混同されることが多いですが、その関係はとてもシンプルです。
* EMCは「電磁ノイズ」に関する規格
* CEマークは「EU法令への適合」を示すマーク
* EMCはCEマーク取得に必要な要件の一つ
* CEマークにはEMCだけでなく、安全規格やRoHSなども含まれる
電源設計や電子機器開発に携わる方は、この違いを理解しておくことで、仕様書や試験レポートの読み方が一段と深まります。
規格は難しく見えますが、一つひとつの役割を分けて考えると、その構造は意外なほどシンプルです。
「EMCは家の一部屋、CEマークは家全体」。
このイメージを覚えておけば、もうEMCとCEマークを混同することはないでしょう。
この内容を図解で分かりやすくチャッピーさんに書いていただきましょう↓。

神楽智
