超短編小説 ほたる草の光り方
道のすみっこ、アスファルトが少し剥がれた土の部分に、とある植物が5つほど、花を咲かせていた。
ほたる草…別名『ツユクサ』である。
ほたる草は、時期になると午前中だけ花をひらく。しかし、午後になるとつぼみを閉じてしまう植物であった。
ほたる草の『ほたる』と言えば、夏の夜に美しく光る虫として有名であるが、ほたる草は蛍と違い、午前中にだけ『ひかる』のである。
そんなわけだから、他の者たちからは地味な存在だと言われている。
おとといも、昨日も今日も、ほたる草は色々な者たちに地味だと言われてきた。そして、きっと明日もあさっても明明後日もだ。
と、ほたる草の前を、モンキチョウが横切る。
モンキチョウは言った。
「あなたたちは、どうして夜に光らないの?夜に光っていたら、きっと地味だなんて言われないわ」
モンキチョウは、ほたる草たちの前でくるりと一回転してみせた。
「だって、わたしたちがあんまり目立ってしまったら、蛍たちが困るじゃないですか」
ひとつめのほたる草は、ふざけてそう言った。
「馬鹿ねぇ。あなたたちがいくら目立っても、蛍たちが困るわけないでしょう」
モンキチョウは呆れて言う。
そんなモンキチョウの言葉に、「そうですかね?」と笑ういつつめ。
「そもそも、どうして朝の時間にしか花を咲かせないのよ?一日中咲かせていれば、まだ目立つわ」
「一日中じゃあ、疲れますしねえ」
みっつめが言う。
「だよねえ」と、ふたつめ。
のんびりとしたほたる草たち。
その様子をみて、モンキチョウがふうと大きくため息をつく。
「そんなんだから、地味だって言われるのよ」
ほたる草たちはさわさわ揺れ、くすくすと笑う。
「地味でも良いんですよ」
よっつめが笑って言った。
「どうして?」
モンキチョウが首をかしげる。
ほたる草たちは、口を揃えて答えた。
「だって、これがわたしたちの『光り方』ですから」
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