世界一有名な絵画は、納品されなかった
世界一有名な絵画は、納品されなかった
世界一有名な絵画といえば、やはり『モナリザ』が思い浮かびます。
ルーヴル美術館では、この作品を観るために毎日多くの観光客が長い列を作っています。
『モナリザ』は、レオナルド・ダ・ヴィンチがフィレンツェの裕福な商人、フランチェスコ・デル・ジョコンドから依頼を受けて制作に取り組んだ作品です。
しかし、最終的に彼は『モナリザ』を注文主に納品せず、フランスに渡った後も手元に置き、生涯にわたって少しずつ加筆を続けました。
完璧主義的な性格だったダヴィンチは、彼は依頼主の満足よりも自分自身の納得を優先したのです。
ここに、noteはもちろん、発信活動を行う人であれば誰もが一度は感じたことがあるはずのテーマがあります。
それは、求められるものを作るか、作りたいものを作るか。
その意味で、『モナリザ』はダヴィンチが社会や周囲からの評価に対して妥協せず、
描きたいものを描くために、まさに死ぬまで向き合い続けた作品でした。
求められるものと作りたいものの間で
当時の芸術家は、王侯貴族などクライアントからの依頼に応えて作品を作るのが一般的でした。
同じくルネサンスの巨匠と称されるラファエロやミケランジェロのように、依頼主に納品して評価を得るのが普通だったのです。
しかし、ダ・ヴィンチは違いました。
彼は自分の作品に対するこだわりが強く、作品作りに非常に長い時間をかけてしまい、依頼主から苦情を受けることが多々ありました。
いわば、実力はあるが締め切りを守れないクリエイターだったのです。
そのため、イタリアでの仕事は思うようにいかず、晩年にはフランソワ1世に招かれてフランスに移ることになりました。

パブリック・ドメイン
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15497207による
万能の天才として知られる彼は、当時の一般的な芸術家の在り方にはとどまらない器だったのでしょう。
『モナリザ』も結局は依頼主に納品されず、この時にフランスに持ち込まれ、ダヴィンチは最後まで手を加え続けたのです。
「求められるもの」と「作りたいもの」とのギャップは、創作や発信に関わる人であれば、誰しもが1度は感じたことがあるのではないでしょうか?
偉大なる芸術家とされるダヴィンチもまた、そのギャップを経験した1人のクリエイターでした。
そしてダヴィンチはこのギャップに対して、自分の作りたいものを作る、という姿勢を最後まで崩しませんでした。
それゆえに、『モナリザ』はダヴィンチの最高傑作となり得たのです。
モナリザは誰に微笑む?
現代では、私たちはつい「いいね」や「再生回数」といった数字で作品の価値を測ろうとしてしまいます。
その結果、クリエイターは自分の表現よりも外部の反応に振り回されがちです。
私自身も、この美術鑑賞に関する発信を通じて、求められるものと書きたいものとのギャップについて以前より考えるようになりました。
クリエイターにとって、社会的評価を追いかけることも、自分の表現を突き詰めることも、どちらも間違いではありません。
しかし、どちらにしても作品の評価を完全にコントロールすることはできない。
実際『モナリザ』もダ・ヴィンチの死後はフランス王室の宝物庫でしばし忘れられていました。
世界で最も有名な作品とまで言われるようになったのは、20世紀になってルーブルから盗まれたり、世界を旅するように展示されたりしてからのことでした。
クリエイター自身が決められるのは、自分のスタンスだけです。
求められるものを作るのか、作りたいものを作るのか――どちらが正解ということはありません。
両者が合致する時もあれば、対立する時もあるでしょう。
ですがもし私たちが自分の表現を妥協せずに追求したいと思う時、『モナリザ』は私たちに静かに微笑みかけてくれるのではないでしょうか。
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