256話 LaLaLaさん企画 この二つのダリ風を小説に 参加作品 八の巻 セビリア Seville — The Inland Port Town【イベリア編】波打際スケッチ Sketches of the Shoreline ~AIと創る青春物語~
イサベルを乗せた馬車が、セビリアに来た。
その前後に騎馬の騎士たちが従っている。

セビリアの港
ラカルナの出身地でもあるセビリアは、意外なことに内陸にある。

それなのになぜ港なのかというと、
グアダルキビール川が海から約80kmもあるにもかかわらず、
海船が航行できるほど深く広い川だったことによる。

しかも、内陸にあるために海賊から守られていた。
そのため、王室から安全な港として選ばれることになるのである。

1503年、新大陸との貿易はすべてセビリアで行うという独占法を制定し、
カサ・デ・コントラタシオン(インディアス取引所)を設置している。
その発布は、イサベル1世とフェルナンド2世の共同署名となっている。

この段階では、カスティリャ=アラゴンの共同統治であり、
イスパニア王国の前段階にあったとみてよい。
カスティリャ=アラゴン両王の王国
カトリック両王の王国
カスティリャ=アラゴン同君連合
・・・この時期の呼び名である。

まだスペインという名前はない。
「スペイン王国」は カルロス1世以降のことである。
このカルロス1世は、イサベル1世、フェルナンド5世の孫にあたっている。

イサベル1世、フェルナンド5世、その娘フアナまではトラスタマラ朝、
その娘フアナの息子 カルロス1世以降がハプスブルク朝と呼ばれている。
フェルナンドが2世だったり5世だったりするのは、
アラゴン王国の王としての継承番号 → フェルナンド2世
カスティリャ王国の王としての継承番号 → フェルナンド5世
これもまた、同君連合でスペインがまだなかったためである。
スペインという呼び方は近代国家としての名前を指している。
この物語がこだわっているイスパニアは、国名ではなく、地名だからなのである。

少し先、孫にあたるカルロス1世が違う名前になるのは、
カルロス1世(スペイン王)=カール5世(神聖ローマ皇帝)
だからである。
カルロス1世=カール5世は、ハプスブルク家の巨大な継承によって
スペイン王国(カルロス1世)
ブルゴーニュ公領
ネーデルラント
ナポリ王国
神聖ローマ皇帝(カール5世)
を同時に支配した複合君主だったのである。
この時期、すでに日が沈まない帝国になっていたが、
それでもまだ最盛期は訪れていない・・・。

セビリアの歴史は古く、ローマ時代:ヒスパリスとしてすでに栄えていた。
イスラム時代にも栄えており、アッバード朝・ムラービト朝・ムワッヒド朝のもとで文化・商業の中心都市なっている。
12世紀にはアルモハド朝の首都で、壮大な建築が進んだ。

レコンキスタとしてセビリアをカスティーリャ王国が奪還したのは、1248年でその時のフェルナンド3世は、イサベル1世の曽祖父だったのだという。
イスラム建築を活かしつつキリスト教文化が重ねられ、ムデハル様式という独自の美が生まれることとなる。
大航海時代(16世紀)には、新大陸との貿易を管理するカサ・デ・コントラタシオンを中心として、スペイン最大の富裕な都市となっていく。

この時はまさに、その直前にあたっている。
今まさに、イサベルと騎士たちはその港があるセビリアに到着したのだ。

その姿を、空飛ぶ目は見つめていた。
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