🐼株の「騙し」は週足で回避しろ。マルチタイムフレーム分析の残酷な真実
4つの条件を満たしたのに、なぜ負ける?
TradingView(トレーディングビュー)を開き、完璧な条件を見つけた。
第1話で伝えた「MA20からの距離(バネの縮み)」。 第2話で伝えた「上昇の配列」と「MA20の上向き」、そして「陽線」。 4つの条件がすべて揃っている。完璧な押し目買いのエントリーだ。
しかし、いざ買ってみると、株価は翌日からズルズルと下がり始め、あっけなく損切りラインにかかってしまった。
「なんでだ! 全部チェックしたのに!」
その理不尽な怒り。痛いほど分かる。 わたし自身が、V10の初期プロトタイプでまさにこの壁に激突したからだ。
バネは縮んでいた。配列も完璧。 コードを何度見返しても、日足のロジックにバグはない。 答えにたどり着くまで、3週間の時間を溶かした。
敗因は、極めて残酷でシンプルな事実だった。敗因は、極めて残酷でシンプルな事実だった。
その敗因は——「兵士(日足)」の報告だけを信じて、「将軍(週足)」の命令を聞いていなかった。
日足がどんなに完璧でも、週足には絶対に勝てない
投資の世界では、これを「マルチタイムフレーム分析」と呼ぶ。 要するに、「ズームインとズームアウトを繰り返せ」という相場の絶対法則だ。
・週足(将軍): 大きなトレンド(戦略)を決める。
・日足(兵士): 売買のタイミング(戦術)を決める。
株価の構造において、日足は週足に絶対に逆らえない。
週足という「大河の流れ」が下を向いている時に、日足という「小舟」で上流に向かって全力で漕ぎ出しても、あっけなく押し流されて滝壺に落ちる。 これが「騙し」の正体だ。

これに気づいた時、私はV10に5つ目のフィルター——「週足トレンド判定」を追加した。
w_m = request.security(syminfo.tickerid, "W", ta.sma(close, len_w_m))
w_trend_up = w_m > w_m[1]「週足の20日移動平均線が、前週より上にあるかどうか」。 たった2行のコード。 だが、この引き算のコードが、V10を「本物のシステム」へと進化させた。
もしあなたが手動でチャートを見るなら、もう一つ見てほしいものがある。 それは「週足の安値が切り上がっているか(ダウ理論の上昇トレンド)」だ。 週足レベルで波の底が前回の底より高くなっていれば、将軍は「進め」と命令している。
「週足フィルター」が生み出した、PF 13.27の怪物
V10の実際の稼働データを、「週足がどう作用したか」という視点で見てほしい。

上から下に向かって、週足の安定度が下がっている。
そして、それに正確に比例して、PFが下がっている。
三井物産: 週足が年間を通じて上昇。将軍が常に「進め」と言っている状態。日足の多少のノイズも、大きな流れが吸収する。結果、PF(プロフィットファクター)は13.27という異常値を叩き出した。
三菱商事: 同様に週足が安定。PF 9.75。
ソニーG: 週足が不安定。将軍が「退却」と言っているのに、兵士だけが突撃した。日足の条件が完璧でも、大きな流れに逆らえば押し流される。結果はマイナスだ。
だが、ここで投資の「期待値」という冷徹な事実を突きつける。 ソニーGで-65,327円の損失を食らっても、V10全体では+600,980円のプラスで着地している

なぜか。
致命傷を避ける「物理的な切断(損切り)」のコードが実装されているからだ。 大きく勝ち、小さく負ける。 PF 2.32という数字は、ただのまぐれではなく、この設計思想が生み出した必然の構造だ。
「大きく勝ち、小さく負ける」——PF 2.32とRR 1.68という数字が、この設計思想を証明している。
1万円負けるたびに、2万3,200円取り返す。
1回負けるたびに、勝った時は1.68倍のリターンがある。
週足フィルターは「勝つため」だけの機能ではない。「致命傷を避けるため」の保険でもある。
人間の脳に、5つの条件は処理できない
3話で積み上げた、V10のエントリー条件の全体像を整理する。

これが、勝つための「5つの条件」のすべてだ。 これを、ザラ場の中で、監視しているすべての銘柄で、手動でチェックし続ける。
「4つは揃ってるけど週足が微妙……でも日足の形が綺麗だから買っちゃおう」
人間は必ず、このプロスペクト理論(感情のバグ)に負ける。 意志が弱いからではない。人間の脳の仕様だ。 わたしだって同じだ。だから、自分の脳を信用するのを一切やめた。
「判断」を「コード」に変えた結果
わたしは、これらすべての条件をPine Scriptのコードに統合した。 感情の入る隙間を、物理的に塞いだのだ。
w_trend_up = w_m > w_m[1] // ⑤ 週足の許可
is_perfect = (d_s > d_m) and (d_m > d_l) // ② 上昇の配列
is_m_up = d_m > d_m[1] // ③ MA20の傾き
buy_trigger = is_perfect and is_m_up and filt_ok
and (close > open) // ④ 陽線確認
and ((low > d_m and dist_m < ...) // ① MA20からの距離あなたがやるべき作業は、ただ1つ。 チャートを開いて、そこに「サイン」が出ているかどうかを確認するだけ。 サインが出ていなければ、何もしない。 サインが出た時だけ、淡々と作業としてエントリーする。
わたしの感情が「今すぐ買いたい」と叫んでも、コードは動かない。 そして、コードが「GO」と言った時だけ、わたしは黙って従う。 この冷徹な関係を築くまでに、190万円という血と、3年の時間を溶かした。
この3記事で書いたロジックを手動で実践できるなら、それで十分勝てるはずだ。 だが、「手動で監視する時間がない」「いざチャートを見ると感情が暴走する」というのなら、システムに任せるという選択肢もある。
手動でノイズと戦い続けるか。 感情を殺すシステムに、すべてを委ねるか。
生き残るための道は、あなた自身が選べばいい。
※わたしがエントリーから決済まで、すべての感情を排除しているシステム(V10)の全貌はこちら


