高市首相の国会答弁が招いた日中間の緊張 その9
# 平和ってなに? No.42 〔2025/12/5〕
今日、「高市早苗には中国問題も奈良の鹿問題も同じレベル!?元朝日新聞・記者佐藤章さんと一月万冊」(一月万冊、2025/12/02)を視聴して、なぜ、高市発言に中国が激怒しているのかがわかりました。
2025年11月7日の予算委員会で、立憲民主党の衆議院議員岡田克也氏が台湾有事の存立危機事態に関しての質問のやりとりの中で岡田氏は、「例えば、失礼ですが、高市総理、一年前の総裁選挙でこう述べておられるんですよ。中国による台湾の海上封鎖が発生した場合を問われて、存立危機事態になるかもしれないと発言されました。」と高市氏が過去に台湾の海上封鎖で存立危機事態になるかもと発言していたことを指摘され、それが問題であるとの認識に基づき高市首相に質問をしていたところ、高市首相が「例えば、台湾を完全に中国、北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。」と
発言したことが今回の中国との問題の発端でした。
この高市首相の発言の問題を佐藤章氏がなぜ問題なのかと語られていました。佐藤氏は、そもそも集団的自衛権の行使には、
①攻撃を受けた日本と親密にしている他国の存在が必要、②日本国の存立にかかわる事態が必要、③その攻撃で日本国身が自由や財産を脅かされてしまう、という3つの要件が必要です。
① の攻撃を受けた他国はどこなのかという問題では、元々の平和安全保障法制ではアメリカ
を前提としていました。しかし、2015年に内閣法制局長官が、攻撃を受けた他国は国に限らないで、地域も含まれると説明し、そうするとこれは台湾を指すことになってしまった。それを高市首相は持論としているから、海峡が封鎖されれば、台湾という地域が「戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば」、集団的自衛権の行使につながるという考え方が根底にある、と指摘されています。
しかし、現実的には、台湾は中国の領土であり、国ではありません。そして、台湾を日本と親密な国とみなすことはできないので、①の要件はクリアできません。
② の要件も、台湾の海峡が封鎖されても遠回りすればいいわけで、②もクリアできません。
③ の要件も、台湾の海峡で海上封鎖になったとしても、それで日本国の生命財産の危機にな
るわけではないので、これもクリアできません。
というわけで、存立危機事態にはならないのに、高市首相が「だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」と発言していますが、この発言は、①②③の要件が不在でも、台湾で海峡封鎖が怒れば自衛隊を出動させるという、高市首相の持論を述べてしまった、ということです。
そして、高市氏の発言の具体的に意味することは、台湾が攻撃された場合に、日本の自衛隊がのこのこと出ていくことであり、これは中国に先制攻撃をしたことになり、そうなると中国は日本を攻撃する口実ができ、もしそうなれば日本にミサイルが飛んできて、1日か2日で日本は壊滅状態になることが予測されると述べられました。つまり、高市首相は、1972年の日中共同声明で、中国は一つであり台湾は国として認められていない、という日中間の合意を破ったという判断になるのです。
ところで、アメリカは中国との友好関係を結ぶ方向で動いており、最近の高市首相へのトランプの電話も、中国に対する発言をトーンダウンするよう要請されていたことが明らかになっています。
さらに深刻なのは、これだけ問題が悪化しているのに、高市首相は外務省による説明を拒否したとの情報が佐藤氏に入っているそうです。恐ろしい状況です。その上、佐藤氏の分析では、高市首相は、我田引水(自分だけの利益を考えて、他人のことは全く考えないで行動すること)で意固地で、これまでも奈良の鹿や放送法の発言に問題があっても撤回しない問題のある人だと指摘されています。
こうしたことから佐藤氏は、この先、最悪戦争に突き進む可能性があり、危険が予測されるのに、日本のマスコミや日本人は事態を正確にとらえていない、と憂えておられました。高市首相の国際的な認識の誤りから国民が地獄に落ちそうです。高市首相は、一刻も早く発言を撤回し謝罪すべきです。
いやはや、なんとも想像を絶する危機的な状況です。昔、安倍首相を「馬鹿な大将は敵より怖い」と言っていましたが、その再来です。さすが、安倍氏の後継者と言われるゆえんです。
※ 土日はお休みします。
【一月万冊、2025/12/02】
高市早苗には中国問題も奈良の鹿問題も同じレベル!?元朝日新聞・記者佐藤章さんと一月万冊
【衆議院】
立法情報 >会議録 >予算委員会 >第219回国会 予算委員会 第2号(令和7年11月7日(金曜日))
【Movie Iwj、2025/12/05】
【前編】日本国民メディア そして国会議員の多くが事態の深刻さを理解していない!! ~ 高市首相「存立危機事態」発言の撤回を求める緊急集会 ―講演:孫崎享氏
【Movie Iwj、2025/12/05】
【後編】日本国民メディア そして国会議員の多くが事態の深刻さを理解していない!! ~ 高市首相「存立危機事態」発言の撤回を求める緊急集会 ―講演:孫崎享氏
【Nippon Com、2014.07.01】
集団的自衛権行使を限定容認――閣議決定
【一月万冊、2025/12/04】
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【舛添要一、世界と日本を語る、2025/12/05】
台湾問題 中国歴代政権の真意 どうする日本?
