[書評] 怪物と呼ばれて
「平成の怪物 松坂大輔」
昭和の怪物の勇姿は
リアルタイムで見たことがないが、
私は何度プレーと共に
このフレーズを耳にしたことだろうか。
中学生の頃に野球にハマり出した頃は
もうイチロー氏は海を渡っていたから、
私にとって日本のプロ野球界で
一番存在感を感じていたのは
打者では "ゴジラ" こと
松井秀喜 氏であり
投手ではこの "平成の怪物" であった。
デビューしたての頃の
細身でしなやかで
素人目にも全身のバネを感じる
躍動感溢れる投球フォームが
大好きだった。
高校時代の映像だって
テレビや動画サイトで
何度も見てきたし、
何より全盛期の姿を
リアルタイムで見てきたからこそ、
晩年のプレーする姿は見たくなかった。
見るのが忍びなかったのだ。
ただ それらは所詮
上辺だけを見ている
薄っぺらいファンの視点に過ぎない。
だからこそ 本人から語られる
平成の怪物の生き様を知りたいと、
この本を手に取ったのだ。
Kindle で書評集を出してます!
※ Kindle Unlimited 対象です ※
目標がその日その日を支配する
私がプロ野球選手の自伝を
読むのが好きなのかというと、
サラリーマンという
安穏とした世界に生きている自分が
想像し得ないほどの生存競争の中に
彼らが生きているからだ。
彼らは いつも
私にはない視点を教えてくれる。
読んでいて驚いたのは、
氏は高校時代から既に
プロ意識が非常に高かったということ。
もちろん目の前の試合や
練習には集中するのだろうが、
その奥では常に上のステージへ
上がったときのことを
意識していたという。
そうした姿勢があったからこそ、
新人ながら開幕1軍として
あれだけの活躍ができたのだろう。
「与えられた仕事や課題だけやれば十分」
というのが ワークライフバランスと共に
令和の価値観として
広まってきた感もあるが、
やはり一流になろうという人は
こうした心構えなくしては
なり得ないのだろう。
その意識の高さは、
まさに氏の座右の銘である
「目標がその日その日を支配する」
の言葉そのものといった印象である。
怪物が積み重ねた努力
氏といえば、史上初(唯一)の
高卒新人から3年連続最多勝という
活躍が 私は真っ先に思い浮かぶ。
しかし プロデビューから
スター街道を歩んできた氏が、
自身で成長を実感できたのが
プロ5年目というから驚きである。
逆に言えば、高校時代までに
それだけ濃密な鍛錬を積み重ねてきた
ということでもあるのだろう。
抜群のセンスと評価されながら
思うように活躍できずに
球界を去る人たちがいる中、
やはり生き残るどころか
トップに登りつめる人というのは
努力の質・量ともに尋常ではない。
それだけの努力をしないうちから、
どうして私のような凡人が
「才能がない」などと
嘆くことができるだろうか。
身勝手な自分を恥じる
そして日本プロ野球の
トップに登りつめた氏は、
世界最高峰の舞台を求めて
海を渡った。
最初はメジャーリーガー相手にも
勝ち星を積み上げる姿を見て
興奮したものだが、
長年の勤続疲労が祟ってか
選手生命に大きな影響を与える
大怪我をする。
そして以前のようなパフォーマンスが
できなくなったことで、
彼は日本へと帰ってきた。
往年の力強さは望むべくもなかったが、
技巧派としての復活を密かに期待した。
何しろ彼には天性のスター性がある。
ドラマチックに活躍する星の下に
生まれてきた人間なのだ。
ただ 心の片隅では
奇跡の復活を期待しつつも、
それが奇跡というほどに
確率の低いことであることも
分かっていた。
そして一軍のマウンドに戻ってきた
氏の投球を見て、私は
「松坂大輔は終わった」と思った。
もちろん そのパフォーマンスに
一番悩み苦しんでいたのは、
他ならぬ氏自身であったはず。
それは理屈では分かりつつも、
私は勝手に期待をして
勝手に失望していた。
家族や同級生といった
特別な関係ならまだしも、
市井のプロ野球ファンとは
勝手なものである。
しかし本書を読んで初めて
葛藤や悩みの深さを知った。
応援するのも ヤジを飛ばすのも
(節度を守った上においては)
ファンの権利であるとはいえ、
あまりに身勝手な失望をしていた
自分が恥ずかしくなってしまった。
ファンにとっては映像付き
1998年 夏の甲子園。
延長17回の激闘となった
準々決勝のPL学園戦もさることながら、
1シーンということで言えば
「明徳義塾戦のテーピング外し」
「京都成章戦の試合終了の瞬間」
「プロデビュー戦での
片岡篤史選手からの空振り三振」
の3つは、氏を語る上で
何度となく擦られてきた映像だ。
当代の野球ファンとして私も
目に焼き付くほどに見てきたし、
だからこそ それらの場面については
細かい描写を一字一句読み込まなくても
勝手に脳内映像が再生されるほどだ。
敢えて意地の悪い言い方をすれば
既知のエピソードが多いわけだが、
それは有名人ならば仕方あるまい。
むしろ そのエピソードに至る
本人しか知らない背景や心情が
語られることで、より感慨深くなる。
往年のプロ野球ファンなら
もちろんのこと、
「松坂世代」代表として
一時代を作った名選手を
知ることができる本として、
全ての野球ファンに薦めたい1冊である。
こんな人にオススメ!
・全ての野球ファン、
特に松坂世代の現役時代を知る野球ファン
・一流の心構えやプロ意識を身につけたい人
こんな人には合わないかも…
・野球に全く興味がない(明るくない)人
お読みいただき、
ありがとうございました。
メンバーシップで
いっしょに楽しく活動しましょう!
有料記事もお得に読むことができて
オススメです! ↓
共同運営マガジンも展開してます ↓
はじめましての人は ぜひどうぞ ↓
X でも毎日 発信しています
楽しく交流していきましょう ↓
本気で仕事のことを考え続けていると、いずれ意識せずとも全ての思考が仕事のこととリンクするようになる。これを「全集中の呼吸・常中」という。この領域まで来ると、意識して頑張る以上の結果が "頑張ることなく" 得られるようになるのだ。まずはそのレベルになるまで鍛錬あるのみ。
— Naseka@令和の哲学者 (@philosopher_018) August 30, 2025
※ Amazonアソシエイトに参加しています。
今日のオススメ(勝手に紹介)
※ 勝手に紹介しているので、
迷惑だったら ご連絡ください。
いいなと思ったら応援しよう!
いつも応援いただき ありがとうございます。いただいたチップは、新たな学びの糧として 書籍代や有料記事購入に活用させていただきます。