[書評] あまんちゅ!
ちょうど最近 妻が
ダイビングを題材にした
アニメにハマっていて、その傍らで私は
久しぶりに この作品を読み返したくなった。
この作品は 作者の代表作
「ARIA」に感銘を受けて、
彼女のファンとなり
読むようになったものである。
といっても連載誌を
追っていなかった私は、
この作品を手に取った動機は
あまり純粋なものではなかった。
転勤を機に1,000冊以上
所有していた本のほとんどを手放し、
紙の本から電子書籍への
移行を進めていた時期。
座右の書であった ARIA だったが、
いくら探しても
電子化はされていなかった。
(今は出版されているが)
いつでも何度でも読み返したい本。
だからこそ電子書籍で手にしたかった。
紙の本を十何冊も
持ち歩くわけにはいかないから。
そんな葛藤の中で存在を知った作品。
私はこの作品に
ARIA の代わりを求めたのだ。
だが 読み進めていくうちに、
自分が恥ずかしくなってしまった。
ARIA に負けずとも劣らないほど
恥ずかしくなるくらいの素敵が
ぎゅっと詰まっていたからだ。
平成青春ノスタルジー
ARIA は観光都市ベネツィアを
ベースにした景観の美しさが
魅力のひとつだったが、
こちらはダイビングということで
舞台は海の中へと潜っていく。
作者の感性によって紡がれる
言葉や視点の素敵さは
相変わらずであるが、
加えて水中から見た景色というものが
一層魅力を積み増してくれる。
時は現代、伊豆にある高校の
ダイビング部を中心に
描かれる青春ストーリー。
といっても時代については、
令和の今からすれば 少々昔ではあるが。
ガラケー全盛期だし、
学校の教室には昔ながらの
黒板とチョークも健在。
(最近の教室はディスプレイや
ホワイトボードが増えているそうで)
令和の今とは少し違っているけれど、
だからこそ感じるエモさもある。
青春が過ぎ去りし人も
真っ只中にいる人も、
きっと誰でも心に響く作品と
言えるだろう。
成長と感動の追体験
東京から伊豆へ移ってきた、
引っ込み思案で 何かと後ろ向きな
主人公・大木双葉。
性の違いはあれど
その性格には自分との共通点も多く、
私としては どこか他人に思えない。
新しい環境では
どうやって友人を作れたのか、
今をもって思い出せないほどに
私も自分から話しかけることすら
できなかった。
それが就職して初対面の相手とも
人並みに話せるようになったのは、
なんだかんだと学校生活や社会の中で
揉まれてきたからなのだろう。
そんな自分が彼女を通して、
自分もこんな道のりを経てきたのだと
人間としての成長を懐かしむ。
…いや、私の青春はこれほど
輝きを放ってはいなかった気はするが。
それはともかく
学生時代はとうの昔に過ぎた人も、
きっと新しいことへの不安や怖れ、
ドキドキ感は何歳になってもあるだろう。
だからこそ大人になった今 読んでも、
登場人物たちに自然に自己投影をして
成長と感動の追体験を
することができるのだ。
何度読んでも心が洗われる
別に思い出や懐古主義に
浸るわけではないのだが、
この作品は何かの折に
手に取って読みたくなる。
そして、その時々で
私に気付きを与えてくれる。
今までも読む度に
どこか不思議な感覚があったのだが、
改めて読んで ようやく分かった。
この作品は「詩集」のようなものなのだ。
これまで学生時代の国語の授業や
プライベートでも
詩や詩集を読んできたが、
どうにも私には
ピンと来るものがなかった。
だが 何度も何度もこの本を開いては、
開く度に心が洗われ
新しい発見や感動と出会うことができる。
きっと詩集を嗜む人とは、
斯様な感覚が好きで
読んでいるのではないだろうか。
なんとなくだが、
私にはそんなふうに思える。
久しぶりに読み返してみたら、
今の自分に浸透している
ものの見方や考え方が
いくつもあることに気付いた。
私も昔は双葉のような
後ろ向きな人間だったのに、
いつの間にか明るく前向きに
考えられる人間に変わっていたのだ。
これは間違いなくこの作品、
そして 天野こずえ先生の持つ力である。
私にとっては 思考を変え
人生を変えてくれたと言っても、
決して過言ではない。
こんな人にオススメ!
・天野こずえファン
・ダイビングが好き/興味がある人
・伊豆の魅力を存分に味わいたい人
・青春を追体験をしてもう一度楽しみたい人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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— Naseka@令和の哲学者 (@philosopher_018) August 30, 2025
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