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[書評] 全員“カモ”―「ズルい人」がはびこるこの世界で、まっとうな思考を身につける方法

大学生時代、教養の講義で
心理学を履修したことがあった。

当時 "金田一少年の事件簿" に
ハマっていた私は、
「心理学の授業を受ければ
 心理トリックに
 明るくなれるのではないか」
という浅はかな期待からだった。

全く持って見当外れの期待外れだったが、
講義の内容そのものに
面白さを覚えたことが
私が心理学や人間の性質について
興味を持つきっかけとなった。

以来、この手のテーマは
自分の中でも好んで読んでいる。

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人心操作は後ろめたい…?

心理学を用いて人心操作をするというと
なんだか悪どいように思えるが、
冷静に考えれば それ自体に
善悪があるとは言い難い。

先日 とあるテレビ番組で、
スマホのゲームアプリに
人を惹きつけるための
心理的誘導に関する話を聞いた。

スマホ中毒なんて言葉もあるが、
なるほど緻密に設計された仕組みを
前にすれば いとも簡単に
人間は誘い込まれてしまうのだ。

ただ それが直ちに悪かと言われると
そうも思えず、番組で紹介されていた
「教育や社会に役立つゲームの促進」
という観点で見れば むしろ社会的には
良い影響を生んでいるとさえ言える。

要は 何とかとハサミ同様に、
善悪を決定づけるのは使いようである。

そう考えれば、なにも心理学や
人心操作について学ぶこと
(すなわち本書を読むこと)にも
後ろめたさはなくなるというものだ。

他人の心理など分かるはずがない

つい 2年ほど前までは、
私は どこにでもいる会社員だった。

いや 今も会社員であることには
違いないのだが、あるきっかけから
"雇用労働" というものに疑問を持ち、
自分の力で収益を得るということに
挑戦するに至った。

現状は まだまだ自立には
至っていないから、世間で言うところの
副業(或いは小遣い稼ぎ)の域に
留まっているが。

単刀直入に言ってみれば
商売に挑戦しているわけだが、
それまで(アルバイトを含めて)
雇用労働しかしたことのない
私にとっては
"顧客の心理を理解する" というのは
本業のエンジニア業よりも
はるかに難しい。

なまじ学生時代から
心理学や哲学の類の本を
齧ったことも影響してか、
「所詮 他人の心理など分かるはずがない」
「分かると思うならそれは傲慢である」
という境地にたどり着いたのが
マズかった。
(そう思いつつ 本は読むのだけれども)

一生 エンジニアで食べていくなら
機械や設備を相手にするので
きっと さしたる支障は
なかったのだろうが、
こと商売をやろうと思うのであれば
他者の心理を理解できないというのは
もはや致命的な欠点である。

意図した方向へ誘う

そこで救いのヒントを求めて
手に取ったのが 本書であった。

読んだばかりであるし
自分の状況に
どのように応用すべきかまでは
消化に至っていないものの、
「なるほど、そういうものかもしれぬ」
と自分にも心当たりがある事例が
たくさん紹介されている。

その中でも個人的に印象に残ったのは、
私たちが一度は耳にしたことが
あるような学説も誤った例として
多く挙げられていることだ。

実は私たちも自覚しないままに、
多くの誤りに囲まれて
騙されているのかもしれない。

"騙す" とか "カモにする" と言うと
心証が悪いが、
「意図した方向へいざなう」と捉えれば
私たちにも
十分利用すべきものはあるはずだ。

決して悪用を推奨するわけではないが、
仕事や趣味 あるいは
日常の人間関係においても
参考にしたいエッセンスが
溢れる本である。

惜しむらくは 事例として
紹介されている様々な実験の中には、
文章のみでの説明で
直感的に理解しづらいものもある。
初見の流し読みでは
正確に把握するのは難しいかもしれない。

こんな人にオススメ!
・「自分は騙されやすい」と思ってる人
・「自分は絶対に騙されない」と思ってる人

こんな人には合わないかも…
・騙されて痛い目を見て
 「もうそんな話は聞きたくない」という人

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お読みいただき、
ありがとうございました。


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