[書評] 初恋の世界
私が中学生前後だった頃、
夏休みの一番の楽しみは
昼食後のテレビだった。
実家にインターネットが来たのは
私が高校を卒業した後だったし、
まだ携帯電話も持たされていなかった。
そんな中で共働きの母親が
置いていった昼食を食べた後、
13:00 からの1時間が
当時の私のゴールデンタイム。
「大好き!五つ子」からの
「キッズ・ウォー」の流れは、
なぜか未成年の私の心を
掴んで離さなかった。
元々あまりドラマに
興味はなかったのだが、
この 2つに関しては
子どもが話の中心であるせいもあってか
不思議と興味を惹かれたのだ。
以来 毎年の長期休暇に関しては、
前述の番組を見るのが日課となった。
惜しむらくは録画環境がなかったから、
休みが明けて
続きが見られなかったことである。
(ついぞ完結まで観た作品は
なかった気がする)
そんな少年時代を
過ごしたせいか知らぬが、
私は 身近では希少な
「昼ドラ(っぽい話)が好き」な
男子となった。
結果的に その感性が
大好きな作家との
縁を紡いでくれたのだから、
何が奏功するか分からぬもの。
今回も大好きな
西炯子 先生の作品である。
どいつもこいつも
高校時代の同級生4人娘
(40歳でも娘には違いなかろう)
の恋愛事情を描いた作品である。
仕事に生きてきた恋愛下手、
かたやバツイチで再婚を狙い、
あるいは既婚者との不倫に盲目となり、
最後のひとりは 結婚して
子供にも恵まれているかと思えば
夫婦仲が冷めきっていて
お互いに配偶者以外に夢中となる。
よくもまぁ これほどのラインナップを
揃えてくれたものだと感心する。
それぞれの状況を個別に見れば
オムニバス形式にもできただろうが、
彼女たちが仲良し4人組ということで
ひとつの作品にまとまっている。
ひと粒で2度オイシイどころか、
4度オイシイ お得感が満載である。
不倫が好きだ
さて こんなことを言うと 周りから
冷ややかな目で見られそうだが、
私は不倫が好きだ。
といっても、何も自身に
不倫願望があるわけじゃない。
ただ、どうも私は
学生同士のような
純愛を扱った作品よりも
道ならぬ恋に悩む作品の方が
好きなのだ。
このへんの趣向は、
間違いなく少年時代に見た
昼ドラの影響が大きいと思われる。
ともあれ不倫なんてものは
創作だから魅力的に映るのであって、
現実でやられた日には
周りが迷惑するのがオチである。
もし自分の母親が
「不倫で家を出ていった」
なんてことになれば、
子どもや家族は困るだろう。
やはり 不倫は見物までに
留めておくのが良い。
岡目八目
それにしても
岡目八目とはよく言ったもので、
彼女たちも まぁ他人のことになると
よく理性的にものが見えるものだ。
それなのに
いざ自分のことになると一転、
友人には やめろと言うような恋愛に
のめり込んでいくのである。
まさしく「恋は盲目」というやつである。
ただ この作品を読み進めていけば、
最後に行き着くのは
「不倫なんて面倒くさい」
という結論だけ。
良いところだけを
フォーカスして見るから、
魅力的に見えるだけなのである。
(まぁ突き詰めていけば、
色恋沙汰なんて面倒くさくないものが
ない気がするが)
不倫の持つ甘美な一面は
確かに示しつつも、しっかりと
その報いまでを描いているから
ちゃんと読めば
「自分もしたい」とは思わないだろう。
彼女たちも最後には
しっかりと不倫の盲目から
目を覚ましてくれる。
(不倫してないのもいるが)
西作品に込められた魅力
そう言えば面倒くさいと言えば、
読んでいくと そもそも
「結婚自体が面倒くさい」と
思わせる部分もある。
記憶をたどれば これまで読んできた
西先生の作品は、どれもこれも
(たとえ結婚に至ったとしても)
面倒くさい恋愛ばかりだった。
私が西炯子ファンとなったのは
独身時代の話だが、
よく独身時代に先生の作品を読んで
恋愛や結婚をしたものである。
思うに当時の自分にとっては
「結婚って面倒くさそう」よりも
憧れの方が強かったのだろう。
長らく そういうご縁がなかったし。
誰ともお付き合いを
することがなかった自分が、
自ら行動を起こしてまで
恋愛(そして結婚)をしようと
思わせてくれる。
そんな恋の魅力が込められているのが、
西作品の特徴である。
不倫は決して推奨しないが、
恋をしたいと思っているなら
この作品を読むことで
もう一度 初恋のような
沸き立つ恋心を
思い出すことができるかもしれない。
こんな人にオススメ!
・昼ドラが好きな人
・恋をしたいと思っている人
・道ならぬ恋に悩んでいる人
こんな人には合わないかも…
・未成年(一部アダルトな表現あり)
・浮気や不倫の話題が苦手な人
・煮え切らない恋を見るのが苦手な人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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note を書いてると「批判されたら どうしよう…」なんて不安になるけど、いざ 出してみると全然批判されないもの。実は自分に一番批判的な目を向けるのは、他ならぬ自分自身だったんだと気付く瞬間だ。あなたが良いと思って書いたものだもの。もっと自分を信じていい。
— Naseka@令和の哲学者 (@philosopher_018) July 7, 2025
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