【学年通信】 オリンピックと音楽
このオリンピックで心に残る場面があった。ビーチバレーでブラジルとカナダ代表がネット越しに罵り合い、審判が両チームにイエローカードを出すという不穏な状況。そんな中、DJの流したJhon LennonのImagineに観客が大合唱し、選手は我に返ったように落ち着きを取り戻した。
その競技の最高峰の舞台でありながら、町内対抗のバレーボール大会で文句を言い合っている素人のおっさんのような選手といい、カードを出しながらそれ以上は無策の審判といい、まあまあとなだめる観客といい、なかなか得がたい絵面で楽しませていただいた。そして、スポーツと音楽が結ばれよいシーンだと思った。
オリンピックになると思い出す楽曲がある。放送局が散々流してくださったおかげで、耳にこびりついてしまった曲もあるが、私は、オリンピックの度に、それとは全く関係の無い楽曲を思い浮かべる。
1982年のPaul McCartneyのTag Of War。曲の題名は「綱引き」であり、その昔、綱引きがオリンピックの正式種目であったことを、誰からか教えてもらったことが、自分の頭の中でオリンピックとつがっているのだと思う。曲の冒頭には、実際の綱引きのかけ声が入り、PVでも綱引きの映像が差し込まれていたような気がする。
英語が不自由なので、歌詞を読んでも言葉のニュアンスが分からず正確な意味を把握できないが、対立を乗り越えるメッセージソングであるらしい。私なりに解釈すると「押したり引いたり、お互いに相手を打ち負かそうしてきた。でもそれは手をつないでいるからこそ。向こうには互いを讃える山の頂がある」
Jhonの死後につくられたTag Of Warは、 Paul MaccartneyのImagineと評される。Imagineほど様々な場所で流れる楽曲ではないので、ビーチバレーでDJが選択すべき曲は、観客のほとんどが知っているImagineで大正解である。DJが選ぶことはないと思うが、Tag Of Warもその場にふさわしく、味わい深いよい曲なのではなかろうかと思った。
曲名がタイトルにもなっているアルバムを最初から聞き直してみた。学生時代を思い出すとともに、そういえば70年代、80年代には多幸感あふれる曲がたくさんあったなあとその時代が懐かしくなった。しかし、これは思い込み。年寄りの「昔はよかった」案件。今現在生み出されている楽曲でも多幸感あふれるものはたくさんあるに違いない。ただ、私が物事に対する感受性が枯渇していなかった若い時に聴いた音楽だからそう思うだけである。
(2024年8月)
