赤い悪魔
先日職場で後輩の女性が「皆さんに聞きたいんですが、20代のうちにやっておいた方が良いことってありますか?」と質問していた。
私は一応まだ20代なので、口を開かず先輩方の回答に耳を傾けていたのだが、回答の内容はおおむね「旅行」「遊び」「恋愛」といったものだった。良く言えば鉄板、悪く言えばありきたりである。
ただ、ある50代の女性が「若いうちにビキニを着といたほうがいいよ。年とったら着れなくなるから」と言っていた。これを聞いて私はあることを思い出した。
前の職場にいたのである。何がって、「若い頃に赤いビキニを着ることに憧れるもなかなか勇気が出ず、なぜか55歳になって憧れが抑えきれなくなってエスコンフィールドの混浴温泉に赤いビキニを纏って入っていった女性が」だ。
当時周りのお客さんは何が起きたのか分からなかったのではないだろうか。赤いビキニを携えて進撃してくるだらしない肉体、彗星の如く現れた赤い悪魔。2008年北京の夜にウサイン・ボルトという稲妻が走ったように、彼女は突如として北広島に現れたのだ。
若い頃の叶わなかった憧れは、年をとっても、いや、年をとるほどに光輝くものである。おじさんが昔買えなかったスニーカーを集めたり、私が子供の時に欲しかったトイ・ストーリーのウッディ人形を買ってしまったのはそのためだ。
だから私は後輩に、赤いビキニの着用を強く勧めた。
