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#312: 「スペック」よりも、「物語」を。

毎日投稿312日目。
昨日(#311)の記事で、僕は「安さ(理屈)よりも、意味(感情)を大切にしたい」という話をしました。

▼まだ読んでいない方はこちら。
#311: 「安さ」を売るな。「意味」を売れ。

これを読んで、「意味が大事なのはわかるけど、具体的にどうすればいいんだろう?」と感じた方もいるかもしれません。

今日は、個人事業主やフリーランス、僕たちのような小さなチームが、「スペック(機能)」をどう扱い、その上でどう「物語(ナラティブ)」を届けるかという考え方について書いてみます。

「明確な規格」は、比較のための便利なツール。

まず、誤解しないでほしいのは、「スペック(規格)なんて関係ない」と言いたいわけではありません。 むしろ、「明確な規格」は比較検討のために便利に作られているものであり、僕たちもそれをうまく活用する必要があります。

  • 「メモリ16GBのパソコン」

  • 「リッター20km走る車」

  • 「A5ランクの黒毛和牛」

これらはお客さまにとっての「共通言語」であり、信頼の証です。
ここを曖昧にしたり、基準を満たしていなかったりすれば、そもそも検討の土俵にすら上がれません。

だから、プロとして「規格(スペック)をある程度クリアすること」は、最低限の礼儀であり、スタートラインなのです。

スタートラインの、その先で。

しかし、多くの人はこの「スペックをクリアすること」で努力を止めてしまいます。

「良いスペックの商品 (サービス)を用意したから、売れるだろう」と。

でも、スタートラインに立っただけでは、お客さまは最後になにで選ぶか?
それはおそらく、「価格」です。

同じスペックなら、1円でも安い方を選びます。
これでは、資本力のある大手には勝てません。

だからこそ、僕たちには「本当の努力のしどころ」があるんです。

それは、規格をクリアした上で、どうやって「付加価値(物語)」を用意するかということです。

「物語」という付加価値を乗せる。

比較されやすい「スペック」をクリアしつつ、その上に比較しようがない「物語(ナラティブ)」を乗せる。

例えば、僕がガソリンスタンドで「お花」を販売したときの話です。

▼その時の想いを綴った記事はこちら
#4: 『ありがとう』を給油するガソリンスタンドに僕たちはなる

❌ スペックだけで売る場合: 「季節の切り花です。新鮮です。1束500円です」 → 「花」という規格は明確です。これだけなら、「スーパーの花売り場の方が安いな」「種類が少ないな」と比較されて終わりです。

⭕️ 物語(付加価値)を乗せる場合: 「(新鮮な花を用意した上で)いつも家で待ってくれている奥さんに、言葉にするのは照れくさい『ありがとう』を伝えませんか? ガソリンと一緒に、感謝の気持ちも満タンにして帰ってください」

どうでしょうか? 商品は同じ花です。
でも、後者には「感謝を伝えるツール」という物語が乗っています。

これが「付加価値」です。
お客さまは「花(スペック)」を買うのではなく、「家族が喜ぶ顔(物語)」を買ってくれるのです。

この努力をした時だけ、商品は「比較されるモノ」から「あなただけの意味」へと変わります。

ガソリンにも「物語」はある。

「じゃあ、ガソリンスタンドに物語なんてあるの?」
そう思われるかもしれません。

確かに、ガソリンという液体(スペック)自体に差をつくるのは難しい。
だからこそ、僕たちは「自分たちの活動」そのものを物語として伝えています。

僕たちのチームでは、「Boost X project」という活動を通じて、地域経済の活性化に全力で取り組んでいます。

▼Boost X project
https://yagiya.co.jp/boost/

ただガソリンを売るだけではありません。 「僕たちは、この地域の未来を明るくするために全力を尽くす集団である」 この立ち位置こそが、僕たちの物語です。

これをお客さまに共有することで、ただの給油が「地域への応援」や「未来への投資」という意味を持ちます。

「ガソリンを入れるなら、地域のために頑張っているあのお店に入れよう」
そう思ってもらえた時、僕たちはスペック競争の枠を超えて、お客さまと「同志」のような関係になれると信じています。

「もうひとつの努力」をしよう。

もし今、あなたが「ライバルとの違い」や「価格競争」に悩んでいるなら、一度立ち止まって考えてみてほしいのです。

スペックを磨く努力は、もう十分されているはずです。
素晴らしい商品を持っているはずです。

だからこそ、「もうひとつの努力」をしてみませんか? それは、数字には表れない、「あなただけの物語」を語ること。

スペックで嘘をつかない。
でも、スペックだけに頼らない。
その裏にある「情緒」と「物語」を丁寧に届ける。

それが、僕たちフリーランスや小さな事業者が、これからの時代を自分らしく生き抜くための、大切なヒントになると思っています。


<Booster nobu|博士号を持つガソスタ経営者>
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