レティシア書房店長日誌
アンソロジー「何も起きない夜日記」
当店で人気の高い一人出版社「月と文社」。発行した数は10点にもなっていませんが、今の時代を生きる若い人々の、生活と気分を捉えた本ばかりです。
休日のひとり時間、あなたは何をして過ごしますか?世代もバックグラウンドも異なる17人が、ひとりで過ごす休日について書いたエッセイ・アンソロジー「私の孤独な日曜日」。これがなかなか良かったのですが、第二弾とでもいうべき「何も起きない夜日記」(1980円)が出ました。カバーのイラストは、『私の孤独な日曜日』と同じ澁谷玲子。

前作とは異なる無名の17人が、「休日ではない普通の日の夜」に何を思っているかを書きました。いつものように夕食をとり、風呂に浸かり、そして寝床につくというルーティンライフのなか、17人それぞれが自分の過去や未来に思いを馳せていきます。そんな私的なことを読んでおもしろいの?と思う方もおられるでしょうが、これが読ませるのです。版元代表の藤川明日香さんは「知人やnoteで見つけた人たちに、『平常運転の一日の夜』に思うことを、日記をまじえて書いてほしいと依頼したエッセイ・アンソロジーです。文章に独自の視点や味わいのある人、今の自分への道のりとやるせなさを率直に綴ってくれそうな人に声をかけています。」と「はじめに」に書いています。
20代から50代までの書き手は、事務職、システムエンジニア、バリスタ、専門紙記者、大学院生、イラストレーター、書店店長、ライター、「月と文社」の藤川さん本人等々で、どの章も魅力的でした。
神奈川県西部にある小さな港町「真鶴」という所に、「道草書店」という小さな書店が2020年にオープンしました。この店を夫と一緒に切り盛りしている中村道子さんが書いているのは「『生活のある世界』を味わう」です。
「そろそろ寝よう。部屋に戻ると、ソファの上に洗い終わった洗濯物が無造作に山のような高さで積んであった。明日やろうか、しばらく葛藤。寝ている家族を起こさないよう、電気を暗めにして畳む。不揃いの靴下や毛玉だらけのセーター、ヒートテック、年代物のバスタオル、映えない部屋着、それらはすべて私の生活だ。 冬の日向でシーツを見上げ、ベランダに干す、乾いた洗濯物のあたたかさと匂いを吸い込む。すべての家事が全自動になる世界も生きているうちに見てみたい気もするけれど、それは『生活のない世界』に等しい。生活を手放さない。手を動かすことによって、ままならない私の生活は確かなものになっていくと信じたい。だれの生活も奪われないように祈りを込めて洗濯物を畳んだ。」
何ということのない夜、パラパラとめくって改めて自分と向き合うような本です。
⭐️レティシア書房ギャラリーご案内
7/22(水)~8/23(日) ミニプレスフェア
⭐️イベントのお知らせ10月25日(日)北海道のネイチャーガイド安藤誠トークショー
17時30分スタート(2000円要予約)
⭐️入荷ご案内
夏森かぶと「居場所づくりの日々」(1210円)
小澤みゆき「リーン·インにまたね」(1100円)
三中信宏「本棚の記憶」(2530円)
三好愛「犬のうんちとわかりあう」(2420円)
子鹿·紫都香「キッチンドランカーの本」(660円)
「労働文集 孝働2」(1500円)
green birds「Time Homestay」(1500円)
スズキナオ「新幹線から見えたすき屋へカレーを~」(2200円)
ゆうあん「本づくり日記」(800円)
堀静香「夫は松田龍平じゃないけれど」(2200円soldout)
仕事文脈28「強さ弱さ研究」(1320円)
青木海青子「図書館、山へ分け入る」(1980円)
月と文社編「何も起きない夜日記」(1980円)
板垣崇「百年(一日)の孤独<上>」(2200円)
早時期仮名子「不明度51%」(600
円)
田辺翔士「物置小屋暮らし俯瞰図」(1650円)
早時期仮名子「軽率に、ひとり版元」(900円)
世田谷ピンポン「感傷は僕の背骨」(1980円)
内藤正典ゼミ「ゼミはガチだけど役に立つ」(2750円)
「京都町中中華倶楽部4」(968円)
世田谷ピンポンズ「感傷は僕の背骨」(1980円)
「明日のパン」(2500円)
Mimamorineko「拾いながら、見えてくる」(1100円)
Gururi編「猫もあなたを愛している」(1980円)
アンソロジー「徳島で本のにおいを辿る」(1430円)
