本屋が古物を扱いはじめたワケ
醸造の町・長岡市摂田屋地区。「酒・みそ・醤油」と江戸時代から続く6つの蔵が今なお現存していて、近くを歩いていると麹のいい香りがしてくる、まさに醸す町・摂田屋(せったや)。
醤油屋さん・越のむらさきのお屋敷があった敷地内に江口だんご摂田屋店が2022年7月にオープン。同じくして同敷地内に現存していた昭和5年に建てられた2階建て地下1階の蔵をリノベーションしLIS摂田屋は新たにスタートしました(SHS長岡/宮内と場所を変え)。瞬く間に3年が過ぎようとして今年で4年目を迎えます。
2階の運営を丸ごと任せてもらえることになり、商品構成や新たなお客さんの獲得、観光地としての側面もある摂田屋でどういったものを提供するべきか、何が喜ばれるかを考えました。「経営戦略」というほど大げさなものではないですが、新刊書籍の販売だけで売り上げを立てる「一本足打法」では厳しくなるのは目に見えている中で、本以外の収益源の確保・多角化が急務でした。


歴史がある町で地域に根ざし、長岡の文化を継承し、地元の方も外から来てくれる方も喜んでもらえるもの、東京発のものや既存のメーカー品でもなく、あまり見かけない珍しいもの(かつ売り上げとして貢献してもらえるもの)、そして店主の趣味嗜好も活かせるものが1番良い、という欲張りな(こだわりな)考えを巡らせていました。
わたし自身、歳を取っていくとものの見方も変わっていくもので、年々古いものに興味が移り、趣ある建物に惹かれたり古道具を扱うお店を見て回ったりすることが好きになり、展示のお手伝いでハチミツさんやハナモモさんとも知り合いになれたこともきっかけのひとつで「自分でも初めてみようか」と腰を上げ古物商の免許を取得し、市場に足を運んで仕入れからスタートしました(今ではたまに買取もしてます)。
はじめてから3年が経ち、リピーターの方や毎回お宝探しに来てくれる方も増え少しずつ認知され始めたかなあという印象。
はじめてみてわかった大変なことは、洗い物と片付けでしょうか、汚れを落としメンテナンスし売り物になるまでの「労働」、片付けを怠けるとすぐゴミ屋敷と化す現場(なるべく捨てたくないし)。ですが現行では出合えないものが見つかるのは面白く、道具・民具などをみると日本の暮らしのルーツを垣間見れ、100年前のものでも手入れすれば今でも使えることを教えてくれる。





お店全体で考えてると、本×古道具×作家展示とをミックスしたターゲットやコンセプトがあるようなないような店ではあるが、そこが全体の魅力を引き上げ、オリジナルであり、同じ看板・同じ品揃えのナショナルチェーンと相対するような店になった(図らずともなってしまった)。
20年前の本屋(インターネットが普及する前)なら、本屋収益はコミックと雑誌の売上が下支えだった。コミックの新刊が発売されたら、マンガ誌・ファッション誌の発売日には本屋に通う、という人も多かったと思う。それが見込めなくなった今、店の役割も担い方も稼ぎ方も変化は至極当然か。
落ち着いて本が読める選べる、店も憧れではあるのですが・・・。
ということで、月1くらいで仕入れをして並べています。お近くに来た時はぜひ摂田屋へお寄りください。
■LIS摂田屋(リスセッタヤ)
1F 醸造リキュールと地域食品の店
2F 本と暮らしの作品展
■長岡市摂田屋4-8-28
(江口だんご摂田屋店敷地内)
■営業時間 10時〜17時 火曜日定休
■駐車場あり/ JR宮内駅より徒歩10分
