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【「ドラゴン」 ~オルフェの鏡~ 】

【鏡1:オルフェの鏡】

やっとだ・・・
やっと現れた・・・

ドラゴンは自分の下に現れた
《水溜り》に満足気にうなずきます。

これでやっとルチアに逢える。

『雨上がりのドラゴン』──────────
青い竜のノアは《水溜り》・・・
「鏡」に映る
自分の姿を凝視する━━━━━━

ドラゴンの身体に一度だけ降る《神の雨》。
その後にできる水溜りは「オルフェの鏡」と呼ばれます。
それはこの世と天界を繋ぐ「扉」で
そこを潜ると亡くなった人に会えるといわれます。

ルチアという美しい妻を
病気でなくした詩人ノアは・・・
〘神の雨〙を待つために・・・
魔法使いに必死で頼み込み
青いドラゴンの姿に変えてもらいました・・・

が・・・その魔法もあと30分ほどで消えてしまいす。

しかし「神の雨」は降ったのです。
ノアの苦労が報われたのです。

これでやっと君に逢える
やっと君を迎えに行ける

ノアが鋭い指先を
そっと・・・水溜りにひたすと──────────────

その竜の身体は
《水溜り》の中へ
グイッと吸い込まれて──────────────
───────────────────────────────────────



【鏡2:七色の扉】

──────────────────────────────

と!? 

《水溜り》からゆっくり浮上した
ノアを待ち受けていたのは───────────

そこは──────────

七色の花々が美しく咲き乱れる「天界」でした。

ノアは美しく逞しい若い人間の姿で立っています。
どうやらこの「天界」は竜が嫌いで
矯正的に人間の姿に変えられてしまったようです。

そんな彼の目の前には《七色の扉》が!!

ノアは慌てる事なく魔法使いに言われたことを
ゆっくりと思い出していました。

《妻を「天界」から連れ戻す手順》
1.雨上がりのドラゴン『ノア』が
  「オルフェの鏡」を通りぬけ、「天界」へと行く
2.目の前に現れた「七色の扉」を開き
  ルチアが待つ「月のブランコ」へと進む
3.「月のブランコ」からルチアを連れ出す。
(注:戻るまで絶対に彼女の顔を見てはいけない)

固く閉ざされた─────────
《七色の扉》の前に立ったノアは呟く。

「詩人は未来を回想する。」

ギイイイイイィィィィィ─────────────

(魔法使いに『合い言葉』を
  教えてもらってて良かった。)


ノアは《七色の扉》を潜り
七色に輝く野原を歩き続けるのでした。



【鏡3:月のブランコ】

ノアがしばらく進むと
大きな三日月が目の前に現れました。

(これが・・・「月のブランコ」・・・)

ノアは必死になって妻を探しますが
その姿は何処にも見当たりません。

「ルチア!! 何処にいるの??」

その時、三日月の上から釣り下がっていた星屑の1つが
キラキラキラと輝き溢れたのです!?

(その時、ノアは前に妻が言ったことを思い出しました!?
  「私・・・一人っきりになったら・・・
    寂しくならないように『星』になって輝くの」)

これが妻だ!! ルチアだ!!

ルチアはブランコの魔法で
「星」に姿を変えていたのです。

「ルチア、一緒に帰ろう」 

ノアは星を掴んで懐に収め
もと来た道を一目散に走り出しました。



【鏡4:鏡の終わり】

ノアが「天界」の出口へ向って走っていると

「痛い、痛い!」

懐の中から・・・
星の苦しそうな声が聞こえてきます。

ノアは野原を過ぎ
《七色の扉》を過ぎ
《水溜り》まで一気に駆け抜け、
ザブザブと《水溜り》へと入ります。


すると・・・
ノアの身体は水に触れた途端
どんどん竜化していきます。
「天界」を離れるに従ってもとの姿、
竜に変貌していくのです。

もう顔と腕は「青い竜」と化しています。

刹那!? 

星が大きな悲鳴を上げました。

ノアは堪らずに
懐から星を取り出します。

と!?

「月のブランコ」から離れたことで
星が溶けていき
人間のルチアが目の前に現れたのです。

「しまった!?」

ノアは人間に戻ったルチアを
ついうっかり見てしまったのです!?

と!?

ルチアが見えない大きな力で
後ろに引っぱられます!?

「ルチア!! 手を!!」
「はい!!」

上半身が竜化していたノアはそのチカラを利用し
ルチアを思いっきり
《水溜り》へと引っ張り込む────────────

───────────────────────────────
──────────────────────────────


!?

ノアが気がつくと・・・
自分の横に美しいルチアが横たわっています

ノアは自分の両手や顔を触り
自分が元の人間に戻っていることに気がつきました。

ここは現世───────

最初に居た場所に戻ってきたのです。

2人が《水溜り》に潜った瞬間──────────
竜化魔法が解け、ノアは人間に戻ったのです

その時

全てのルールがリセットされ
ルチアは人の姿のままで戻ってこれたのです。

そうです。
「天界」でルチアの姿を見てしまった・・・
その竜の瞳はもうどこにもなく、

それにより
「姿を見てはいけない」というルールも消失したのです。



「ああ・・・ルチア」

ノアはルチアを抱きしめました。


「ノア?」

目が覚めたルチアもノアを抱きしめます

そしてこのあとは─────────

この辺り一面に

二人が幸せそうに
抱き合って愛を分かち合う姿が・・・
その美しく「木霊」する囁きが・・・
この世にずっとずっと
満ち溢れ続けるのでした────────。
 
                      ~Fin~



★片桐みかん様

めちゃくちゃ遅れましたが
しあがりましたので

よろしくお願い致します。


★片桐みかん様、マガジンに収録くださり ありがとうございます。


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