【第38話】ゾナ内部の構造
ゾナに到着して、最初に入れられたのは、半地下の待機所のような部屋だった。
そこで一緒になったのは、こんな面々だった。
ギオ(20代前半)
黒いTシャツに黒ジャージ。どこか猿っぽい顔立ち。ニキ(30代前半)
顔中を髭に覆われた、物静かで威圧感のある男。オタル(30代後半)
前歯がなく、ずっと冗談を言って笑っている。レゾ(20代前半)
控えめな性格で、少しだけ英語を話せる。
全員が私に興味津々で、最初はこう聞いてきた。
「お前、どこから来たんだ?」
私が「日本から」と答えた瞬間、すぐに空気が変わった。
これはジョージアだけでなく、世界中でよくある現象だと思う。
西洋人が東アジア人を見ると、まず中国人だと思う。
だが、話してみて日本人だと分かると――
態度が変わる。
敬意や好奇心が一気に増し、距離感がぐっと近くなる。
この時も、まさにそうだった。
それまで距離を保っていた彼らが、急に馴れ馴れしく話しかけてくる。
「ヤポン!カラテ!ジュド!」
「オサカ?トキオ?」
私は笑顔で、いつものように受け答えしていた。
しばらくすると、彼らがこのゾナでの今後の流れを教えてくれた。
月曜日に、刑務官による面接(インタビュー)があること
その内容によって、ゾナ内部の各エリアに振り分けられること
彼ら4人は、「アハリ・ゾナ(新しいゾナ)」への移送を希望するつもりだという。
もし希望しなければ、「ズエリ・ゾナ(古いゾナ)」に行くことになるらしい。
両者の違いがどんなものかは分からなかったが、
「古いより新しい方がマシだろう」と考えた私は、
アハリ・ゾナへの移送を希望することに決めた。
話を聞いて分かってきたのは、
このゾナ全体がひとつの街や国のような構造をしていて、
その中にも、いくつもの“異なる世界”が存在しているということだった。
月曜から、私もその“どこか”へ放り込まれる。
だがこの時点で、私はまだ知らなかった。
この選択が、地の底へと続く
新たな道の入り口になることを――。
続く。
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