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Web3が変えるアフリカの不動産取引|ナイジェリアのSytemapの事例から見る未来

アフリカの不動産市場では、土地の所有権確認や登記の不透明さが長年の課題となっています。

特にナイジェリアでは、同じ土地が複数の購入者に販売される「二重販売」や、紙ベースの記録管理、不透明な行政手続きが不動産取引の信頼性を低下させてきました。

こうした問題に対し、ブロックチェーンやAIなどのデジタル技術を活用し、不動産取引の透明性と安全性を高める取り組みが始まっています。

本記事では、ナイジェリアのスタートアップ Sytemap(旧HouseAfrica) の事例や、業界団体との連携、さらにアフリカで進む不動産デジタル化の動きについて紹介します。


1. 土地詐欺の経験から生まれたSytemap

Sytemapは、共同創業者の一人であるNdifreke Ikpoku氏が2017年に土地購入で詐欺被害に遭った経験をきっかけに設立されました。

Ikpoku氏はポートハーコート郊外で2300万ナイラ(約200万円)の土地を購入しましたが、後にその土地がすでに複数回販売されていたことが判明しました。

この経験から、Ikpoku氏は共同創業者のNnamdi Uba氏とともに、土地所有権の確認という構造的な問題を解決するための仕組みを構築することを目指しました。

画像引用元:Sytemap Official Website

2019年、同社はHouseAfricaとして事業を開始し、当初はブロックチェーンを活用した不動産の分割所有を構想していました。

しかし、土地の所有権が明確に確認できなければ安全なトークン化はできないという課題に直面しました。

その結果、事業の焦点は不動産取引の基盤となる土地情報の検証とデジタル化へと移行しました。

2. 不動産デベロッパーの土地記録をデジタル化

Sytemapは、政府の土地登記システムを直接置き換えるのではなく、不動産デベロッパーが保有する土地データに着目しました。

ナイジェリアでは、デベロッパーが広い土地を取得し、区画に分割して販売するケースが一般的であり、各企業が内部で土地割り当てや購入者の記録を管理しています。

Sytemapはこれらの情報をデジタル化し、複数の不動産開発プロジェクトを統合する地図型ディレクトリを構築しています。

同社のプラットフォームでは、衛星画像を基に各不動産プロジェクトが地図上に表示され、区画ごとに位置情報が記録されます。

購入者が特定の区画を選択すると、その区画はシステム上で予約され、別の購入者が同じ区画を選択できない仕組みになっています。これにより、二重販売を防ぐことができるとされています。

また、土地情報は不動産会社が提供するデータだけでなく、政府承認の開発レイアウトや土地の所有状況の調査結果などと照合されます。さらに、購入者自身にも追加の確認を行うことが推奨されています。

3. 支払い記録をブロックチェーンで管理

Sytemapでは、不動産の所有権そのものではなく、土地購入の支払い履歴をブロックチェーン上で管理しています。

購入者は地図上で土地を選択し、最低5万ナイラ(約5,500円)の支払いで区画を確保することができます。

残りの金額は最大24か月にわたって分割払いが可能であり、支払いが行われるたびに、その支払いを示すデジタルトークンが発行されます。

これらのトークンは投資商品として取引されるものではなく、購入者が支払った金額を示す証明として機能します。

最終的に支払いが完了すると、トークンはバウチャーに変換できる仕組みも導入されており、同社は200以上の小売店と提携しています。

4. Sytemapのビジネスモデル

Sytemapは、ソフトウェア提供と不動産マーケットプレイスを組み合わせたビジネスモデルを採用しています。

まず、不動産デベロッパーは自社が開発する土地や住宅プロジェクトをSytemapのプラットフォーム上に登録し、土地情報のデジタル化を行います。

これに対して、Sytemapはデジタル化やシステム導入のためのセットアップ費用を受け取ります。

さらに、プラットフォームを通じて土地が販売された場合、Sytemapは取引額の10〜15%のコミッションを受け取ります。

このように、同社はデベロッパー向けのソフトウェアサービスと不動産販売プラットフォームの両方の機能を持つモデルで事業を展開しています。

5. 事業実績とユーザー基盤

Sytemapによると、同社は2021年の事業転換以降、最初の2年間で約10万ドル(約1,500万円)の売上を記録しました。2025年には年間売上が30万ドル(約4,500万円)に達しています。

同年、同社のプラットフォームを通じて成立した不動産取引の総額は15億ナイラ(約1億6,500万円)でした。また、2026年1月には単月で8,000万ナイラ(約885万円)の取引が記録されています。

ユーザー数は2万人以上に達しており、そのうち70%以上が女性であるとされています。

さらに、約2,000人の女性が参加するWhatsAppコミュニティを通じて、土地購入に関する教育や販売活動が行われています。

6. REDANとの提携による信頼性向上

2025年には、Sytemapはナイジェリア不動産開発者協会(REDAN)と覚書を締結しました。この提携は、不動産取引の信頼性向上と透明性確保を目的としています。

SytemapのCEOであるNnamdi Uba氏は、この提携について「テクノロジーだけでなく、人々が人生の貯金を投資する際の安心感を提供していきます」と述べています。

また、SytemapはREDANとの連携を通じて、不動産開発者が持つ土地情報や開発データを統合することを目指しています。

REDANには約5,000社の不動産デベロッパーが加盟しており、同社はこれらの不動産データを集約することで、将来的に不動産データインフラの構築を目指しています。

7. AIとブロックチェーンによる不動産取引の自動化

不動産取引のデジタル化の背景には、AIとブロックチェーンの組み合わせによる自動化の可能性も指摘されています。

ブロックチェーンの分散台帳とAIによるデータ処理を組み合わせることで、従来の不動産取引に存在していた多くの仲介機能をコードによって代替できるとされています。

例えば、AIを活用したデジタルマーケットプレイスは売り手と買い手を自動的にマッチングし、スマートコントラクトは資金と不動産の交換条件を自動的に確認して取引を実行します。

さらに、デジタルウォレットは銀行を介さずに資産を保有する手段となり、土地の所有記録は紙の登記簿ではなくブロックチェーン上で保存される仕組みが想定されています。

8. アフリカで進む不動産デジタル化

アフリカでは、不動産取引のデジタル化に取り組む企業やプラットフォームが各国で登場しています。

ケニアでは、土地記録のデジタル化を進めるArdhisasaや、不動産供給の効率化を目指すJumba、不動産トークン化を探るNomachainなどが挙げられています。

ナイジェリアではSytemapのほか、ブロックチェーンを利用した不動産取引を提供するSeso Globalや、デジタル不動産マーケットプレイスの構築を目指すBlockchain Realtor Africaなどが活動しています。

これらの取り組みは、不透明な土地取引や記録管理の課題を抱える市場において、不動産取引の透明性と信頼性を高める新しい試みとして注目されています。

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